読書

硝子のハンマー

硝子のハンマー (角川文庫)作者: 貴志祐介出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2007/10/11メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 53回この商品を含むブログ (95件) を見る 貴志祐介の長編推理小説。 TVドラマ『鍵のかかった部屋』を全く見ていなかったことを後悔…

高原のフーダニット

高原のフーダニット作者: 有栖川有栖出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2012/03/16メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 6回この商品を含むブログ (19件) を見る 有栖川有栖の中編推理小説集。 「オノコロ島ラプソディー」 『わびれものゴージャス』で登場し…

ミステリ・オールスターズ

ミステリ・オールスターズ作者: 本格ミステリ作家クラブ出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/09/25メディア: 単行本 クリック: 53回この商品を含むブログ (14件) を見る 本格ミステリ作家クラブ編のミステリアンソロジー。原…

奇面館の殺人

奇面館の殺人 (講談社ノベルス)作者: 綾辻行人出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/01/06メディア: 新書購入: 3人 クリック: 414回この商品を含むブログ (114件) を見る 綾辻行人の長編推理小説。館シリーズ9作目。 吹雪の山荘における顔なし死体。本来なら…

探偵Xからの挑戦状3

探偵Xからの挑戦状! 3 (小学館文庫)作者: 北村薫,島田荘司,貫井徳郎,米澤穂信出版社/メーカー: 小学館発売日: 2012/05/08メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (8件) を見る NHKのテレビ番組から生まれたアンソロジー。 北村薫『ビスケット』は…

メルカトルかく語りき

メルカトルかく語りき (講談社ノベルス)作者: 麻耶雄嵩出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/05/10メディア: 新書購入: 6人 クリック: 107回この商品を含むブログ (73件) を見る 麻耶雄嵩の連作短編推理小説。超上級者向け。すれっからしのミステリ読者を翻…

キングを探せ

法月綸太郎の長編推理小説。 カラオケボックスに集まった四人の男。トランプを取り出し、交換殺人のターゲットを決め始めます…。 交換殺人をテーマにした単純な倒叙もの…と思っていると作者に背負い投げを食います。淡々と進んでいるかに思われる事件と捜査…

謎解きはディナーのあとで2

東川篤哉の連作推理短編集。 大ベストセラーの続編ですが、魅力は健在。愉快なフーダニット集。主人公が刑事ということもあり、事件の発生直後ならではのシチュエーションを生かして、シンプルで、かつ盲点をつく、論理のアクロバットが冴えを見せます。 軽…

モップの精と二匹のアルマジロ

モップの精と二匹のアルマジロ (ジョイ・ノベルス)作者: 近藤史恵出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2011/02/18メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブログ (15件) を見る 近藤史恵の長編ミステリー。キリコちゃんシリーズ。 秘密をかかえたまま…

獅子真鍮の虫

田中啓文の連作ジャズミステリー。永見緋太郎シリーズ。 とはいえ、ミステリー色はかなり薄れて、ジャズ奇譚集といった趣きになっています。音楽の素晴らしさと人間の面白さが、強烈な印象で迫る、寓話のような、説話のような小説群です。それを裏打ちしてい…

アルバトロスは羽ばたかない

七河迦南の長編推理小説。七海学園シリーズ。『七つの海を照らす星』の続編です。 文化祭の校舎からの転落事件を縦糸に、七海学園での過去の不思議な出来事を横糸に。 真摯な祈りの物語でもあります。 シリーズもので、このトリックを使うか! 容赦ないな! …

七つの海を照らす星

七河迦南の連作ミステリ。第18回鮎川哲也賞受賞作。 舞台は児童養護施設。日常の謎の中に社会性がにじみます。 主人公は児童養護施設の職員の女性、名探偵は児童相談所の職員なのですが、謎を提示するのは施設の少女たちです。三人称で書かれた作品ですが、…

贋作『坊っちゃん』殺人事件

柳広司の中編ミステリ。 夏目漱石の『坊っちゃん』の後日譚という形式をとりながら、原作『坊っちゃん』のエピソードの意味を大胆に読み替えてみせるパスティーシュ。 帰京から3年後、主人公と山嵐は、あの天誅事件の直後に自殺をしてしまった(!)という赤…

折れた竜骨

米澤穂信の長編ミステリ。 時は十二世紀、イングランドの東、ソロン諸島を舞台にした、歴史ファンタジー本格ミステリです。 邪悪なる暗殺騎士に命を狙われた島の領主、暗殺騎士を追う騎士ファルクと弟子の少年ニコラ、ソロン島に迫る呪われたデーン人の脅威…

インシテミル

米澤穂信の長編ミステリ。再読。 米澤穂信の青春ミステリといえば、青春のただなかにいる切実さと、それを冷静な目で見る批評性が同居しているところが、大きな魅力ですが、これはそれのクローズドサークル版です。吹雪の山荘のただなかにいる切実さと、吹雪…

こういう了見 噺家ほど素敵で不安な商売はない!?

新進気鋭の若手落語家、古今亭菊之丞師匠の自伝的エッセイ。 軽妙な語り口で前座、二つ目の修業時代や、真打昇進披露興行の裏話などが描きだされます。興味深い芸談もあり。 すらすらと読めます。読み口の軽快さ、爽快さは、落語の芸風と通じているところが…

こめぐら

倉知淳のミステリ短編集。「なぎなた」の姉妹編。 やや上級者向きです。というのも(ネタバレ)肩すかし芸の作品が多いから。ミステリをある程度読んだ人たちのほうが、これを十分に楽しめるかもしれません。 とはいえ、『Aカップの男たち』は愉快だし、『遍…

なぎなた

倉知淳のミステリ短編集。『こめぐら』の姉妹編。 倒叙あり、記述トリックあり、フィニッシングストロークありのにぎやかな短編集。シンプルな仕掛けと、楽しい文章、人を食った着想。著者によるあとがきも充実。 『こめぐら』より、まずこちらのほうを先に…

謎解きはディナーのあとで

東川篤哉の連作短編推理小説。 軽快な文体、愉快なキャラクターで描く、高度なフーダニット集。主人公の女刑事は、実は大企業グループのお嬢様。名探偵は、お嬢様の執事兼運転手。ときどき主人に暴言を吐きます。 純粋に「犯人は誰か?」を考えることのでき…

あなたに贈るキス

近藤史恵の長編ミステリ。サスペンスフルな女子寮ものの傑作です。 学生寮を舞台にした作品は、ミステリの定番のひとつですね。ほどよい閉鎖性が、ミステリと相性が良いのでしょう。 この作品は、キスでしか感染しない死病の蔓延をうけて、キスがタブーとな…

闇の喇叭

太平洋戦争後、南北に分割統治されたパラレルワールドの日本を舞台にした、有栖川有栖の長編ミステリ。この世界では、南北の緊張もあって、政治はより抑圧的で閉鎖的、私的な探偵活動は禁止されています。 パラレルワールドに映し出されるのは、リアルワール…

ふたりの距離の概算

米澤帆信の青春ミステリー。古典部シリーズ。 20kmのマラソン大会を走り終えるまでのタイムリミットで、古典部への正式入部を辞退した少女の謎を、高校生奉太郎が考察します。彼女とすごした日常の中にそのヒントはあったのですが。 浮かび上がってくるのは…

アネモネ探偵団 香港式ミルクティーの謎

近藤史恵のジュブナイルミステリー。 誘拐未遂事件に立ち向かう中学生の少年少女たち。読みやすくて楽しいミステリー。 近藤史恵の熟達の筆は、子供向け小説でも遺憾なく発揮されています。主人公たちのお嬢様っぷりに嫌みがなくて、ナイトたらんとする男子…

貴族探偵

麻耶雄嵩の連作短編集。 非常識な設定で送る、クラシカルな謎解き。ほんのささいなことがきっかけで、大仕掛けのトリックを仕掛けてしまう犯人、それをなんでもないことのようにさりげなく解く名探偵。 書きようによっては、驚天動地の大仕掛けとなるところ…

告白

湊かなえのミステリー。映画化されると聞いて読んでみました。読みやすくてスリリング。 娘を殺された女性教師の復讐が、さまざまな立場の人のモノローグで描きだされます。 中二病についての小説でもあり。最初に犯人が明かされるので、フーダニットではな…

エデン

近藤史恵の自転車レースミステリー。名作『サクリファイス』の続編にあたります。今作も傑作。 日本人としてただ一人ツール・ド・フランスに参戦した白石誓(チカ)の戦いを描きます。 チーム競技でもある自転車レースの駆け引きに引き込まれ、知識のない人…

ハナシがうごく!

田中啓文の落語青春小説。連作短編集。笑酔亭梅寿謎解噺の4冊目です。 ミステリー色はずいぶん薄くなったものの、落語小説、ビルディングスロマンとしては、相変わらず舌を巻くほど面白いです。未読のかたは、シリーズ1冊目、文庫の『ハナシがちがう』から…

天草の霧

斉藤洋の児童向け歴史ファンタジー。白狐魔記シリーズ。 仙術を使う不老長寿の若いキツネ白狐魔丸が、源平の合戦のころから、江戸時代まで、人の世の動きを見つめます。今回の舞台は島原の乱です。 前述のとおり、狐が術を使う世界なのですが、本巻では人間…

あんだら先生とジャンジャラ探偵団

田中啓文の児童ミステリー。「ヒラメちゃんを主人公にしたじゃりン子チエ」のような物語。作者自らがトリビュートと言っています。 大阪下町を舞台に、小学生の女の子2人が、先生の瞬間移動のなぞと、不思議な満腹感のなぞに迫ります。元気で気持ちがいい小…

密室殺人ゲーム2.0

歌野晶午のミステリ。『密室殺人ゲーム王手飛車取り』の続編です。 続かないはずの物語が、なぜ続いたのか、というのが、ひとつの読ませどころ。なるほど、こう来たか、という感じです。 不道徳ですが、使い捨てるには惜しいシチュエーションだったので、続…