贋作『坊っちゃん』殺人事件
柳広司の中編ミステリ。
夏目漱石の『坊っちゃん』の後日譚という形式をとりながら、原作『坊っちゃん』のエピソードの意味を大胆に読み替えてみせるパスティーシュ。
帰京から3年後、主人公と山嵐は、あの天誅事件の直後に自殺をしてしまった(!)という赤シャツの謎を追って、ふたたび四国へと赴きます。調査を進めるうち、日露戦争後という世相を背景に、呑気なはずの四国の風景は、謀略渦巻く魔界へと転じていき、主人公と読者を翻弄します。
時代背景を考慮すれば、あるいはこうであったのかもしれない夏目漱石のアナザーワールド。まだ日本が若い国家であったころの物語。
- 作者: 柳広司
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/11/25
- メディア: 文庫
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