ザビエルの首

 柳広司の歴史ミステリ。長編としても、連作短編としても楽しめます。
 現代のジャーナリストの意識が、15世紀にタイムスリップ、宣教師フランシスコ・ザビエルの周囲の人に乗り移って、いくつかの不可解な謎を解いていきます。舞台は、日本、インド、ヨーロッパと移ります。
 ジャーナリストの意識は、普段は、乗り移った人の意識や行動に干渉できないのですが、謎解きをするときだけ、意識や行動を乗っ取ります。そのときの態度が、実に痛快。キリスト教など、あらゆる権威に従わず、傍若無人に快刀乱麻の推理をみせます。まさに名探偵の思考です。15世紀の禅僧と宣教師を前に、ダイイングメッセージ談義をしたりもします。
 多面的な魅力をもった作品で、キリスト教小説でもあり、歴史小説でもあり、SFでもあり、本格推理小説でもあり、ハードボイルドでもあり、と様々に楽しめます。


ザビエルの首 (講談社文庫)

ザビエルの首 (講談社文庫)