七つの海を照らす星

　七河迦南の連作ミステリ。第18回鮎川哲也賞受賞作。
　舞台は児童養護施設。日常の謎の中に社会性がにじみます。
　主人公は児童養護施設の職員の女性、名探偵は児童相談所の職員なのですが、謎を提示するのは施設の少女たちです。三人称で書かれた作品ですが、謎の描写には伝聞に由来する曖昧さがあり、そこに巧みにトリックがしかけられています。トリックは、小粒のものもあり、大胆不敵なものもありで、志の高さが感じられます。
　七つの謎が解かれますが、特に第2話が素晴らしいです。また、レベルの高い回文づくしの趣向もあって、なかなか楽しいです。
　仕掛けだらけのミステリと、児童虐待などの問題や、少女たちの自己実現などの社会的なテーマが結びついた傑作となっています。
　続編『アルバトロスは羽ばたかない』もかなりの傑作らしいので、読むのが楽しみになりますね。

七つの海を照らす星