ビッグコミックオリジナル2015年10月5日号

ビッグコミックオリジナル2015年10月5日号の感想
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『まどいのよそじ』 小坂俊史

特別編8 大人の趣味
 自分の周囲のアイドル好きも、30代、40代が多いですね。
 「萌え」という言葉自体は、かなり下火になったようですが、社会が一度「萌え」という価値観をくぐったことで、「恋愛することを夢見る」というスタンスから離れて、アイドルのファンでいることが、より自然になった気がします。「応援したい」が軸でファン活動をしているおじさんが、以前より増えてきました。
 昔と今では社会の在り方が違うので、人間としての成熟の在り方が違ってくるのは当たり前。昔と同じようになれというのが無茶な話です。とはいえ、現状に安住して、成熟への模索をやめてしまうのは、いささかかっこ悪い。
 少し前、劇画原作者の小池一夫先生の『日本の大人の男には、「金を持ったにすぎない子供」の男が多過ぎる。』という発言がTwitterで炎上しましたが、ここで大事なのは、小池先生の提示する大人像に合わせろということではなく、「自分なりの大人像」を探すことから逃げるなということでしょう。
 歳をとると、ストレートに放出すればいいことを、様々なしがらみで、紆余曲折して発散せざるを得ない場合も増えていきます。生きにくさと共に生きるのも、大人の道なのかもしれません。ときには、大人のほうが、子供より愚かなこともありますが、それも含めて成熟と呼ぶのでしょう。
 アイドルマニアの主人公は、若干求道者のようになってしまいましたが、ブレまくっているようでいて、その実、生き方の軸はブレていないように感じます。アイドルも大事、生徒も大事、昔も今もそこだけは不変ですから。