古今亭菊之丞名演集

 若手実力派の落語家、古今亭菊之丞の落語CD3枚。
 以前、テレビの演芸番組で見て、一発でファンになりました。そのときは、代り目(古女房におでんを買いにいかせる噺)を演ったのですが、この人が演じると、その古女房が美人で色っぽいんです。その後、真打披露興行に行って「愛宕山」を聞き、その実力に驚きました。
 古今亭円菊の弟子で、すっきりと上品で力強い芸風。「役者のような」と評される風貌で、若旦那、幇間、女性を演じる腕前には定評があります。必ずや次代の古典落語を背負って立つ存在になるはずです。
 今回聞いたCDの演目は、名演集1「たちきり」「愛宕山」、名演集2「三味線栗毛」「法事の茶」、名演集3「素人鰻」「景清」。
 寄席ではあまり聞けない大ネタが多く、「愛宕山」と「素人鰻」以外は、他の演者のものも聞いたことがありませんでした。いずれも演技力が試されるネタばかり。独演会での録音が多いのですが、そういった場で力を磨こうとする姿勢が伝わってきます。
 どれも聞きやすく、引き込まれる好演です。「法事の茶」の落語家モノマネも圧巻。
 マクラも聞きどころ。例えば「三味線栗毛」では、本編終盤で名前がキーとなるので、自分の名前の話から入ったり、落語家のモノマネがはいる「法事の茶」では、志ん朝師との思い出を語ったり。
 平成22年5月31日には、上野鈴本で独演会があります。その他出演情報は、公式サイトで。



古今亭菊之丞 名演集2 三味線栗毛/法事の茶

古今亭菊之丞 名演集2 三味線栗毛/法事の茶


古今亭菊之丞 名演集3 「素人鰻/景清」

古今亭菊之丞 名演集3 「素人鰻/景清」