ビッグコミックオリジナル2015年5月増刊号の感想

ビッグコミックオリジナル2015年5月増刊号の感想
http://big-3.jp/bigoriginal/zoukan/index.html

『まどいのよそじ』 小坂俊史

第9回 おばあちゃん
 もうじきおばあちゃんになる主人公の名前が、馬場智加子(ばばちかこ)。駄洒落であるとともに、「後の展開のために、ある程度古風な名前としておく」という要求も満たしています。
 タイトルバックの顔を見せない他の人たちの流れで、運命の分岐した主人公の立場を暗喩。
 「えへへ」「ウフフ」の次コマで「力説」という、緩急のある表現。さらに、135ページと136ページでは、冒頭コマを呼称の吹き出しにそろえることで、リズムを生んでいます。
 夫との会話の段階で「法的」という話題を、伏線として出しておく。中盤に伏線を張るのは、4コマ漫画と共通したテクニックとなります。次の、「呼ばれ続けること」でおばあちゃんになる、というのも、オチへの伏線ですね。
 137ページのミスリード。市役所の窓口が「戸籍・出生等」というのも念が入っています。