まんがライフSTORIA Vol.9

まんがライフSTORIA Vol.9の感想

多摩川たまみの過ごし方』 楽々

 恋愛未満のおつきあいを描くよりも、女の子の人生の過ごし方を描くほうに力点を置いた、女子漫画。お互いの生き方を賭けたコミュニケーションバトルが開始。

『これでおわりです。』 小坂俊史

最後の営業日
 見るからに流行っていないようなのに、つぶれないせんべい屋って、確かにありますね。多分、常連客からの贈答用などのまとまった注文があって、やっていけているのでしょうが。とはいえ、そういう店も、先細りではあるのでしょう。
 考えてみると、せんべい屋というのは、なかなか難しそうな商売です。
 まず、一人ではできない。ラーメン屋などでは、一人で切り盛りしている店もありますが、せんべい屋の場合、せんべいを焼くのと接客とを、一人でこなすのは難しそうです。客が来たらせんべいが焦げるようでは、商売になりません。昼に販売をして、夜に煎餅を焼くということも可能でしょうが、営業時間が短くなることのデメリットは大きいと思います。どうしても販売員が要りますが、人件費の捻出には苦労しそうです。
 また、味による差別化もなかなか困難です。オーソドックスな堅焼きせんべいの場合、米と海苔と醤油にこだわったとしても、さほどの味の向上は望めません。堅焼きせんべいの味比べができるほどに、せんべいの味覚にこだわる客は、ごく少数でしょう。おいしいせんべいを作っていれば、自然に客が増えるわけではなさそうです。
 変わり種のせんべいに走る手もありますが、常連客が離れる可能性もあるので、なかなかの賭けとなります。また、保守的な常連客のみに支えられている店では、口コミの効果も限られるでしょう。
 さて、勝てない賭けに、どう勝つか、というのが、今回の話となります。
 むろん一過性の勝ちではあります。しかし、光明が見えないまま沈んでいくのであれば、とりあえず一度、現状を打開するきっかけが欲しかったのでしょう。
 188ページ1コマ目。ハンターの目。あるいは蜘蛛の巣の蜘蛛の目。
 190ページ。館直志(たてなおし)というベタなネーミング。
 193ページ。獲物に喰いつく。