まんがライフSTORIA vol.2

 季刊ストーリー漫画誌まんがライフSTORIA vol.2の感想
http://www.takeshobo.co.jp/magazine_d/zid/129


『動物のおしゃべり』 神仙寺瑛
 4コマ版のほうは、安定しすぎていて、かえって面白みに欠ける気もしているのですが、スピンアウトストーリーは物語が進むので面白いです。そして、スピンアウトで進んだストーリーが、4コマ版のほうで回収されていく面白みも。


『ピンクそらりんご』 みずしな孝之
 正直、この展開は、前作『けものとチャット』で、文字通り飽きるほどやったはず。何故繰り返すのか理解できず。自己模倣の動物漫画家に徹するおつもりか。


『有閑みわさん』 たかの宗美
 『サザエさん』で、窓ガラスを割ったホームランで、ガス中毒から助かった話を思い出しました。当時のガスは一酸化炭素を含み危険だったのです。
 今作に関しては、暴走ルンバが、たまたまひったくりに当たる確率の低さを考えると、展開にタメが足りない気がします。


ひねもすのたり』 かずまこと
 悪くは無いけれど、季刊連載という条件で、この展開の遅さで大丈夫なのか不安になります。


ラクロス少女片岡理鈴さんはとてもモテる』 大和田秀樹
 8ページあるけど、4コマ漫画1本で終わる話ですよね。かつ面白くもない。表紙に「大和田秀樹」を載せたかった編集部の気持ちはわかりますが、普通はネームで没にするべき。人気作家だとこんな原稿でも許されるのでしょうか。


『ボクの女子力はあの娘のパンツに詰まっている』 柚木涼太
 編集部の苦悩が伝わる1本。4コマ漫画のスピンアウトを中心とした雑誌といえども、4コマ誌読者だけでは部数に不安がある。読者層を広げなくては、というのはわかります。しかし、中途半端なエロネタは逆効果では?
 裸は無いのに変態的という路線は、読者を選びます。ファミリー4コマのスピンアウト誌で、子供に見せたくない漫画が載るのというのは、危険な賭けのような気がします。


『かが身可愛さ』 赤井吟行
 これも、近親相姦描写は必要かなあ?


『これでおわりです。』 小坂俊史
 「伝わらないこと」の切なさを伝えることには定評のある小坂漫画。
 奥手の同性愛は、伝わらないことの最たるもの。引き留める代わりに最後の客になろうとしたり、髪を切ってもらうことをコミュニケーションや性行為の代替としたり、勝手に自己完結して一人酒を飲んだりするような、持って回った性格ならば、なおさら。
 眉毛がキーワードになる話で、主人公キャラの眉をさりげなく太くして、印象に残しておくあたり、計算が行き届いています。
 テクニック的には、4コマの狭いコマの中に、多様なものを配置することで培った技術により、実に広く漫画のコマを使っているのが印象的。158ページで、頭から足先までの立ち姿の全身像を、2つ縦に並べても、ぜんぜん窮屈さを感じさせないのはすごいこと。
 161ページには、1作目の居酒屋が再登場。同様の仕掛けは今後もあるのか。
 162ページの光と闇のコントラストは、蛍光灯のついた夜の教室マニアならでは。
 そして、小坂漫画にありがちなこと「顎の下の髪の毛のベタを塗り忘れる」