今月のまんがタイムオリジナル

まんがタイムオリジナル2013年3月号の感想


http://www.manga-time.com/link/data/magazine_09.html


ラディカル・ホスピタル』 ひらのあゆ
 医者の世間話について。重要なのは、通院患者はヒマじゃなく、入院患者はヒマであるということでしょうか。通院して診察まで何時間も待たされるのが、患者との世間話のせいでは納得できない感じがします。


『社外秘!神田さん』 大乃本初奈
 チョコレートの知識が20年以上前のもの。全く取材をしていないのが明らかです。
 デパートで買う贈答用チョコレートは、ボックスデザインが命。多くのショコラティエでは、包装紙で包んだりはしませんし、仮に包んだとしても最低限リボンをかけます。
 また、高級チョコレートに砂糖を煮詰めたものが入っている場合、ヌガーではなくて、キャラメルと言います。フランス菓子では、ヌガーというと、普通メレンゲを使ったふわっとしたものをイメージします。
 買ったチョコと贈るチョコの荷姿が全く違うなど、物語の整合性もとれていません。少しイラつきます。


『満開!Sister』 東屋めめ
 5秒でできるズボラ料理の例。鍋キューブ3個、カット野菜(中)1袋、きざみ油揚げ1袋、鶏コマ切れ1パック、土鍋にあけて水400ccを入れて蓋をして点火。終了。


らいか・デイズ』 むんこ
 極寒の節分の時期に、半裸でボディペイントにつきあってくれる店員さんマジいい人。


『ゆらゆら薬局プラリネ』 松田円
 プラリネは、ドイツ語では一口チョコレート、フランス語ではナッツでサクサクしたチョコレートの中身のこと。


『小森さんは断れない』 クール教信者
 一日三善の習字では、名字の小森にも線が足されているようです。何故?


『トリセツなカテキョ』 山東ユカ
 「眉目秀麗」 ぼうぎょ255、かしこさ255、みりょく255、こうげき0。


『おかん』 小坂俊史
 「君の名を書けば」 大きさだけでも、あるいは名前を書くのは片方だけでも、十分に見分けはつくのに。食べ物に関しては、完全主義者のおかん。この段階では画材は海苔。
 「トータルで見てよね」 お弁当の色彩バランスは、栄養バランスの目安にもなるそうです。で、栄養バランスのほうも、数日間のトータルでバランスされていればOKということのようです。しかしながら、この弁当でおかんのほうの腹が持つのか。プチトマト200gでカロリー60kcal程度でしょうか。
 「昇格」 インパクトのある3コマ目。そして補強する4コマ目。毒づきながらも素直に混ぜるサツキがかわいい。今月の作品では、インパクトがあるドラマティックな展開を、3コマ目に用意するというテクニックが、多く使われているようです。「4コマ漫画では、中盤にもコクのある展開を」というサイダースしわすのアドバイスを、作者自身が実例で示したかたち。
 「ふくらむごはん」 3コマ目でほのぼのハートウォーミング系と見せておいて、4コマ目でシビアな展開。持ち上げて落とすという振幅が大きい。
 「カレーがよかったな」 しょくぱんまん「ぼくの顔をお食べ」、カバオ「えーん、パサパサするー!」みたいな。しょくぱんまんキャラ弁は、シンプルに食パンのみか、それともチョコペンを画材に顔が描いてあるのか。
 「鍋一杯分」 この作品「鍋一杯分」と「ふくらむごはん」は、同じ雑誌のp170『脳内フェスタ』における「オレのオカン」と、基本となるアイデアは同一です。母親は大量に料理を作り、それは弁当などにキャリーオーバーする、というもの。松永みやこ先生は、比較的な地味な「あるあるネタ」として、無難に料理をしていますが、小坂俊史先生は「マーマレード」という飛び道具を使って、派手に演出をしています。パンを買うのに弁当箱を渡すという、不思議な3コマ目を作ることで、大きな謎を呼び、読者の興味を引きます。しょくぱんまんネタの後で、食パン一斤が天丼となり、見た目のインパクトも抜群の4コマ目が用意されています。マーマレード400gで600kcal、食パン1斤で1,000kcal、あわせて1,600kcalといったところか。
 「やりがいのある子たちだよ」 互いにエスカレートしていったのでしょう。友達の反応も。弁当の面白さも。ウズラの卵に顔を書くのは大変そうですが、味を度外視すれば、チョコペンなら簡単ですね。
 「まあ予感はあった」 2コマ目は「思春期の目」。3コマ目、米澤穂信の『リカーシブル』を読んだ後なので、姉と弟がラーメンを食べに行くというシチュエーションだけでグッとくる。4コマ目、女子高生の会話を、スプーンでの会話で表現するテクニックがさすが。
 「くやしいけれど」 ツンデレサツキさん。同じ構図で落差のある3コマ目と4コマ目。ヒット商品のカップヌードルごはんも、発想のもとは残り汁ごはんですからね。みかんの皮の漬け物は、白菜とかも入るのかな。
 「ドンピシャDNA」 米澤穂信の『リカーシブル』を読んだ後なので、母と姉と弟のところに、行方の分からない父から手紙が届く、というシチュエーションだけでドキドキします。
 「被害は全校に」 オリジナルメニューを開発するおかんもすごいが、量産を許可する事業主もある意味すごい。ジャムおばさん。


『鹿女子』 新山ハルキ
 「普通の谷のシカ」 1〜2コマ目でナウシカ?と思いましたが、タイトルで宣言されていましたね。ナウシカとシカの地口だったとは。


『電車のお姫様。』 永吉たける
 AM4:00に家をでなきゃ都内につかない田舎では、多分AM4:00にバスはない。出オチを引っ張った全3回。そして謎の大ゴマ。


『かでん屋さんの基礎知識』 風良まり
 登場人物のフリーダムさは、女子高生漫画ではプラスに働いていましたが、お仕事漫画だと、ややマイナスか。


『ろくなちゃいむ』 はっとりずむ
 漫画の基本の基本として、今回の冒頭には大邸宅の背景画が絶対に必要でした。前回の最後に描いたからいいや、ではダメなのです。大邸宅という設定なのに、背景でそれを説明することが、全くできていません。描いて下手なら仕方がありませんが、必要な背景は構図を工夫して表現する、ということをしないと、原稿料に値する漫画にはなりません。


『オモテもウラも才俄センセイ!』 かやっぺ
 『激アツ!若女将さまっ』もそうですが、あるキャラが裏の顔では凶暴、というのは、あんまり漫画のネタ作りに貢献しないような気がします。二重人格ものでも、例えば『千秋ツーフェイス』のように表の顔の場(ご近所)と、裏の顔の場(家庭)が、きちんと用意されていれば別なのですが、同じ場のなかで、特定の人の前でだけ凶暴になるというのは、あまり面白みがなく、ネタもふくらまないようです。


『おやすみ魔法使い』 ふじのはるか
 マッサージチケット30枚っていくらなんだろう。安いと言っても、1枚1,000円はするでしょう。1枚1,000円で30,000円、2,000円で60,000円。誕生日プレゼントとしてリアリティがあるのかなあ。


『ぎんぶら』 安東友子
 「よゆうでいきる」 1コマ目で、ナベボタン星人がつやつやしているのがイヤ。


『脳内フェスタ』 松永みやこ
 「くるくるしたら」 昔『クロス探偵物語』というゲームがあって、こんな方法で人が殺されました。けっこうトラウマ。