まんがくらぶ2016年7月号
まんがくらぶ2016年7月号の感想
『とりかえっこ4コマ!!』
小坂俊史の『大正四葉セレナーデ』
この時代、海外留学で特定の分野だけを学んできても、日本に帰って確実に役立つかは、バクチの要素がありました。専門分野だけでなく、広く見聞を深めることが、ともに大事であったのでしょう。
というわけで、彼女の場合も、「やりたいことを見つけました」ではなく、「やりたいことを思い出しました」であるのが重要で、おそらく「たくさんのうちのひとつ」なのだと思います。4コマ目で顔を赤らめる秀一もかわいい。
小坂先生のパロディは、4コマ漫画1本で、パラレルワールドを作ってしまうところに味があります。香日ゆら先生が描いてきた『大正四葉セレナーデ』の世界の横に、小坂俊史先生の描く(いささかブラックな)『大正四葉セレナーデ』の世界が、ずっと並んで走ってきたような錯覚を覚えます。
香木ゆらの『せんせいになれません』
和泉の背景に、花だの、光のきらめきだの配されるのは、本編では考えられないこと。それにしても、このネタのときに、白衣の左前、右前ネタをやってしまう『せんせいになれません』本編の空気の読めなさよ。
『せんせいになれません』 小坂俊史
「頑張って調整したのに」 次の日は、八十一分遅刻して「粉末」にしましょう。
「高速で黒歴史」 木村くんが描いているのは、4コマ漫画でしょうか? いまどきの小学生は、どんな4コマを読んでいるのだろう。案外、重野なおき先生の歴史4コマが、人気なのかもしれません。
「イケちゃん」 理科でもないのに白衣でしたが、染色は理科実験の範疇かも。
「バカばっかりだ」 鼻毛を抜くバカや、木に登るバカであることよりも、そういう取引をするようなバカであることのほうが、より深刻ですね。
「いい商売だね」 サンガリアの精神。
「チラ見せだ!桃山」 真っ赤なパンツのためのカラーページ。
「休暇は大事にね」 スーツにネクタイなしの哲セン、半袖シャツにネクタイの河田という対比。河田のネクタイは、童顔の彼を子供と区別するための記号でもあり、連載前の教育実習生時代の名残でもあります。夏場にネクタイが、これほど珍しくなるとは、連載開始時には思ってもいなかったことでしょう。
『鳩子のあやかし郵便屋さん。』 雪子
ワイド4コマの利点は、一人の作家に多くのページを任せられるところにもあります。普通の4コマだと6ページが標準ですが、この作品は12ページ。いずれも、4コマ漫画としては11本に相当します。このくらいの本数が、ひとつのエピソードを組むのに、最も適しているのでしょう。
『なぎさ食堂』 藤沢カミヤ
ヨーグルトと豆腐は、実はそれほど低カロリーでない食品の双璧。100gで60kcal前後あります。
『思春期コーヒードリップ』 裕木ひこ
ストーリー漫画のコマ割りを選んで、ミスリードを仕掛けているようです。
一哉がかかえている大量のパン。鼻をひくつかせて、そこに近づく食欲魔人のひなみ。しかし、彼女が目を輝かせているのは、パンに対してではないでしょう。彼女が惹かれているのは、おそらく、一哉が淹れたコーヒーの香り。
彼女が、一哉のコーヒーのファンになることで、彼は「すきでやってることがだめ」じゃないことを知るのでは?
『トラロッコ』 えのきづ
次回最終回ですが、もう少しじっくり読みたかった気がします。
ここまでの情報量では、「たかしさん」が、芯までのクズなのか、クズのようなことを言っているけれど、芯までは腐っていない人物なのか、十分に判別できていないので。感情移入に、正直迷いがあります。