告白

 中島哲也監督の映画。
 抑制された色彩、スピーディーな展開、みなぎる緊張感。スキのない傑作です。
 原作小説をほぼ忠実に映画化。少年犯罪を描いていますが、ウエットさは控えめで、ドライなエンタテインメントとなっています。
 血糊がやや過剰気味なのですが、全編を通じて、血液がキーとなるイメージとして機能しているので、それも効果的です。
(以降はネタバレ)映像で見ると少年A、少年Bのあどけなさが胸にせまります。ウェルテルとか、Bの母とか、もっと誇張して描くことも可能だったのでしょうが、普通の人としての側面を強調して描写しています。キャストたちも、普通の人として好演しています。
 少年たちの破滅の物語ではあるのですが、AもBも死んではいません。この意味は、重いと思います。
 死なないということは、生きなければならない。犯罪者が生きていくためには、更正をしなければならない。AもBも、どん詰まりの状況から、これからの人生を生き直さなければならないのです。その意味で、この映画は再生の物語でもあるのかもしれません。