まんがライフSTORIA Vol.11

 まんがライフSTORIA Vol.11の感想

『パンクティーンエイジガールデスロックンロールヘブン』 ハトポポコ

 ハトポポコ作品の女子高生たちは、26歳になってもあのままなのかなあ、という作品。

『これでおわりです。』 小坂俊史

最後の桜
 小坂先生の控えめで渋い作風において、こんなにも桜の花びらが舞い続けることは珍しい。もちろん意図があってのことで、過剰な花びらで表現しているのは浮遊感。桜の花びらが浮遊する中で、人生の結節点を迎えた登場キャラクターたちもまた、ふわふわと浮遊した瞬間を迎え、その浮遊感の中で、結ぶ手を組み替えます。
 決断の時を迎えながらも、桜の花びらのように揺れ動く心が、桜の花びらの無重力とともに一瞬だけ重さを無くして、思いもよらぬ方向へと人生を再スタートさせることとなりました。
 無茶と言えば無茶なプロットではあるのですが、ミスリードを含め、伏線によってきちんと支えられています。再読していくと、ラストへと結びつく細部がそこここに。
 序盤の彼女の過剰なモノローグは、死別を思わせるミスリードであるとともに、行くべきかどうかを、内心で迷っている心の揺れを、隠すためのものでもありそうです。
 p225:失恋のダメージを1コマで表現してしまう剛腕。
 p227:桜の上空を、メタファーとしての飛行機が飛ぶ。
 苦しんでいる時の親切への感謝と、愛や恋とは違うのかもしれません。自分の傷が深いほど、感謝が深いほど、愛だと誤認しやすいのでしょう。
 26歳にして結婚よりも仕事を選ぶことにした女性。きっとやりがいのあることを仕事にしているのですね。
 小坂先生は、いつかタヒチ島まで行ったりするのだろうか。月山朋恵と6ペンス。