まんがライフSTORIA Vol.7

まんがライフSTORIA Vol.7の感想

ラーメン大好き小泉さん』 鳴見なる

10杯目 朝ラーメン
 朝ラーメンの店のモデルは、新宿ゴールデン街で24時間営業しているラーメン凪ですね。いまや海外にまで飛躍しているラーメン店グループの出発点の店。
 行ってみましたが、昭和な感じの狭い飲み屋が密集するディープな地区の、ビルの2階にあるひときわ狭い店でした。入店、退店時には、すれ違うのにも苦労しそうです。
 混雑時には、食券を買うために並んで、狭い階段を登って食券を買い、いったん降りてきて路地に並び、順番が来たら伝声管で呼ばれて2階に上がる、という複雑な手順が必要とのこと。
 出てくるラーメンは、煮干し+醤油のスープに強い縮れの極太麺という個性的なもの。極太麺をがっしり支える強力な煮干しスープが魅力です。3ページ目で小泉さんが食べているような、ワンタン皮のような麺もオマケで入っています。


 ラーメンも、店の造りも、好きな人はとことん好きになり、苦手な人はどうしても足が遠のくという個性のかたまり。正直、初心者にはなかなかハードルが高いので、早朝に、女子高生がひとりで入っていくというのは、かなりの勇者。まあ小泉さんはプロなので問題ないですが。


11杯目 冷やし
 小泉さんと悠さんが向かった店のモデルは、神保町の麺ダイニングととこ。山形料理を中心とした、居酒屋としても使えるラーメン屋です。
 19ページに2種類のラーメンが描かれていますが、下が「つったいラーメン」、上が「まっかなトマトの酸ラーメン」の冷たいバージョン。
 つったいラーメンはこんな感じ。


 日本そばを思わせるルックスの細麺が、冷水で締められて強靭な歯ごたえ。鶏のコクのあるスッキリしたスープに氷が浮かびます。具には温かい鳥ローストや、食用菊など。食用菊がただの飾りでなく、ちゃんと食感のアクセントとして機能しているのがさすがでした。

『酔いどれ女子』 篠丸のどか

 タイトルバックのお酒は、おじいぽんの愛飲酒と同じ、クエルボ・エスペシャルですね。
 そうか、wiiのある時代が「まだヤングだったころ」なのか(遠い目をするヤングだったころにはファミコンが現役だった世代)。

『これでおわりです』 小坂俊史

最後の夏休み
 2千万円の使い道としては、実は悪くないように思いました。
 老後に2千万円余計にあっても、病気とかが不安で使えなかったりするし、若いうちに使いきってしまうというのは、子供の小遣いは子供のうちに使いきったほうが充実感が高いのと同様の理由で、有意義なお金の使い方だと思います。
 社会人になってから、2千万円貯金したとしても、仕事を辞めて、使い尽くすまで旅行をするという度胸はなかなか持てませんしね。
 6年間で、経済状態に応じて、海外から国内、近場とまんべんなく回っているところが、後の物語の展開に生きてきます。
 人と同じことをしていても、人と違うことをしていても、人生の経験はいずれにせよ無駄ではない、という前向きなメッセージが伝わってきました。それで飯が食えるのかはさておいて。
 つぶしのきかないことをしていても、そこで得た何らかの経験値は、人生のレールが切り替わったとしても、直接な利益はもたらさないにせよ、大きな意味では人生の役に立つものと言えるでしょう。多くの場合、収入をアップさせるスキルとはならないでしょうが。
 終身雇用がガタついてきているので、収入が少ないのを我慢できれば、昔よりも働き方の選択肢は広がっているのかもしれません。学生の就職活動が、一生を決めるとは限らないという状況にはなっているように思います。
 人とは違う道を進めば、そのぶん苦労は多そうではありますが。実際、作中の休暇コンサルタントを長く続けるためには、情報のアップデートの手間が洒落にならないだろうなあ、とも思いますし。