今月のまんがライフオリジナル

まんがライフオリジナル2013年10月号の感想


おうちがいちばん』 秋月りす
 「がんばる両親」 3歳児が行ける山登りというのも、なかなかにハードルが高い。


『野村24時』 板倉梓
 「宴」 どもる斉藤が可愛い。


『よっけ家族』 宇仁田ゆみ
 さりげない描写で、女の子をここまでかわいく表現できる技術。


リコーダーとランドセル』 東屋めめ
 描線が細くなって、少し絵が荒れたような印象があります。


エデンの東北』 深谷かほる
 古き良き洋菓子屋。タイトルバックにさりげなく、さゆりがいます。女子高生も男子高生もキラキラ。


『草食うライオン』 上代真夕
 ゲスト。逆ナンできない逆ナン女という難儀なキャラクター。食券を使った演出は面白かったです。


『はるまち・ダンス』 佐藤両々
 修学旅行は広島へ。キャラクター紹介の回で、双子の晴夏、彩夏の見分けがつかないという確信犯。


『星降り村事件ファイル』 碓井尻尾
 「言葉のイメージ」 繁殖活動。
 「念のため」 発情期。まあ違う生物(多分)だし。
 「思うところ」 でもたぶん秋緒くんにはカミングアウトしない。


『ファイト息切れOL』 吉田美紀子
 朝倉さんとの関係が一歩進んで最終回。
 お疲れ様でした。次回作を楽しみにしております。


『大カラスヤサトシの大発明大王』 カラスヤサトシ
 庭で片手鍋を頭にかぶる不審者。


『月刊すてきな終活』 小坂俊史
 Case4:正造(75)の場合
 4コマ漫画というものは、萌え系に限らず、未来に向かって開けている若いキャラクターを主役にすることが多いもの。生き方の定まっていなさが、オチの自在さとつながるからでもあるのでしょう。何らかの意味で自由人でないと、4コマのネタには困る気がします。
 年をとっても、長谷川町子「いじわるばあさん」みたいに開き直った自由さがあれば、主役は張れますが、家庭もあり、常識もある老人は、行動パターンが決まってくるので、4コマ漫画の主役には、なかなか向かないものです。
 生き方の定まった初老のキャラクターを主人公に、4コマ漫画の連載をすることは難しい。しかし、人生の積み重ねがあり、漫画としては面白い題材でもある。ならば、オムニバスの1話として生かす手がある。そういう意味で、今回は、挑戦的であるとともに、4コマ漫画の可能性を広げる作品になったと言えるでしょう。
 人はかく生き、かく死ぬという洞察が、4コマ漫画に必要になるなんて、以前は思いもしませんでした。その高みにいます。
 「きみのためだけに」 面白いとは言わなくても、必ず作品は読む妻。
 「700枚オーバー」 遺言を書くために長生きしなくちゃという律儀さが彼らしい。
 「なるほど今はそういう」 75歳でラノベ。でも、『宇宙からやってきた彼女がただの犬だった件について』ってラノベか?
 「うすめてのばして」 遺言としての構成にこだわるあたり、小説の形式にもこだわったんだろうな。
 「焼き付けておこう」 1コマ目と3コマ目の空気感。
 「両方だと思いたい」 「女房への愛」だったのか「作品への執念」だったのか、両方だと思いたい。「作品への執念」を否定しないところにも、主人公の律儀さが。
 「健康格差」 生真面目な一方で、話題を捻出するために、フラダンス教室に通ってしまうトンチンカンさとチャーミングさが魅力。
 「一日一便」 こういう展開でも笑いは忘れず。
 「言わせてください」 主人の小説は好みじゃなくても、主人の小説を読むのは好きだった妻。遠回りする夫と、単刀直入にいく妻。
 「命の縮む思い」 死をまたぐ、死にかけの女。
 「4グラムの重み」 容赦なく葬儀のシーンに。ためらわない静かな強さ。1000枚書く愛。3行で答える愛。