まんがライフオリジナル2014年11月号
まんがライフオリジナル2014年11月号の感想
『ちいちゃんのおしながき』 大井昌和
ウォッカをトマトジュースで割るとブラッディマリー。ウォッカをクラマト(ハマグリのスープが入ったトマトジュース)で割るとブラッディシーザー。ウォッカをハマグリのスープで割るとブラッドレスマリー。
『星降り村事件ファイル』 碓井尻尾
漫画に描くのが面倒くさいものの代表として知られる自転車。なるべく描かずに状況を説明するテクニックが駆使されていて立派。
『中年女子画報』 柘植文
先日、よんこま小町に参加する際、船場センタービルに迷い込みました。開場ぎりぎりの時間で、地下鉄から急いで地上に出ようとしたのですが、行けども行けども登りの階段にたどりつけず、ついには船場センタービルの地下に入ってしまいました。ビルに出たから、すぐに地上に出られるだろうと思っていたら、広がっているのは超巨大ダンジョン。結局遅刻しました。
そして、柘植漫画におけるフナバという響きのなつかしさ!
『月刊すてきな終活』 小坂俊史
Case:17 むつみ(26)の場合
「運命の聞き間違い」 テンパる客と聞き違える書店員が、初回に続いて、最終回のシチュエーションも作る。
「納得いく作品を」 case:4で登場した小説家の正造さん。手書き原稿をパソコンに入力し直さなければならないので、余計に面倒くさい。
「がんばるおじいちゃん」 愛人とは短期戦なのに、それに付き合うのは長期戦。
「通行人C」 遺言を書きに来て、葬式の演出プランを練り始める自由さが業界人。
「もうかるからやりますけど」 身も蓋もないタイトル。
「おねがい」 凡庸な人物の非凡な願い。
「顧客管理」 非凡ゆえに記憶に残り、凡庸ゆえに記憶に残らず。
「避けられないこと」 公的な遺言書は、遺族への手紙とは性質が違うんですね。
「それもお受けできませんが」 タイトルで返答する行政書士。
「男とは別れました」 終活漫画ではありましたが、余命さんを含めて、結局、主人公は誰も死にませんでした。作者は、命を救う医療漫画では、コロコロ人を殺しましたが、死へと向かう終活漫画では、基本的に人を殺さなかったことになります(正造さんの奥さんは亡くなりましたが)。このスタンスが、この作品のテーマでもあるのでしょう。とりあえず、自分は生きる。いつか死んだら、遺族は忘れる。人生への肯定と、死後への諦念が、ともにあるような境地。
「よくいきる」 エンディングノートで始まった作品が、エンディングノートで終わりました。