今月のまんがライフMOMO

まんがライフMOMO 2010年1月号の感想


『天使のお仕事』 佐藤両々
 タイトルにちなんで、天使が天使を産んだ、というところでしょうか。王子とモモのイチャイチャぶりに、『キックオフ』を思い出しました。次回最終回。
 「それぞれの役割」 3コマ目、二人の世界に入っているけど、胸はだけてるし、授乳中だし。


『青春甘辛煮』 碓井尻尾
 今回は、ちょっと古風な学園スポーツ漫画風。
 永倉と斉藤の見分けがつくようになったら、髪を束ねた芹沢さんと藤堂さんの見分けがつかなくなったよ。タイトルバックにいるのはどっち?
 女子編より動きがダイナミックな男子編。男子の場合には、面越しに目や顔が描きやすいメリットがあるようです。でも、なんというか問題児だらけだなあ。くるぶし高男子。
 「傷つくなあ」 男子が嫁とか、女子が王子で男子が姫とか、女子が婿とか、そんな話が多いですね、今月のMOMO。雑誌のカラー的に、ジェンダーの相対性みたいなものがテーマになりやすいようです。巻頭作とか、まさにそんな感じだし。


『俺の眼鏡を知らないか』 須田さぎり
 これまでと比べると、なんとか読めるようになってきました。オチをほぼ完全に捨てて、全体を、ゆるーいストーリー漫画として描くようになったのが、吉と出たようです。まあ、これもひとつの4コマのカタチ。


『わびれもの』 小坂俊史
 恐山と並ぶという霊地、川原毛地獄へ。小坂先生は、恐山には以前にも行ったことがあって、レポート漫画も描いていますね。『本当にあった笑える話』2005年11月号。
 日本三大霊地と言うけれど、「恐山は三大霊地のひとつ」とか「立山は三大霊地のひとつ」とかいうPRは、おそらく稀だと思います。三大○○というのは、マイナーなところがPRのために利用することが多い手段なのではないでしょうか。例えば、世界三大美女クレオパトラ楊貴妃小野小町にしても、小野小町以外のPRに使われることは、まずないでしょうし。
 ちなみに、トムヤムクンを、世界3大スープのひとつと言いますが、このコピーはトムヤムクンのPRのために作られたそうで、このコピーができたときには、残りの2つは全くの未定だった、という話も聞いたことがあります。
 しかし、1日3本のバスに乗客が1人とは、なかなかのわびれっぷり。観光シーズンはいつなんだろう。
 川原毛地獄は、湯沢市のホームページでも、「また、一部熱湯が噴き出している場所があり非常に危険です。誤って足を入れたりすると、生きながらにして地獄を体験することになります。」と書かれているすごい場所。観光客を呼ぶ気があるのかな、湯沢市。ホームページはこちら。
 この川原毛地獄、以前は硫黄鉱山だったとか。霊地を鉱山にしてしまうというのも、すごいですね。観光するだけでも危険を感じるような場所で、鉱山労働者の危険はいかほどだったのでしょう。
 案内板によると「硫黄の採掘は、元和9(1623)年から昭和41年まで344年間も及んでいる」そうです。江戸時代、硫黄は、火薬の原料や、硫黄付け木(杉や檜の薄く削られた木片の先端に 硫黄を塗ったもので、かまどの火をおこしたり、ろうそくや 行灯を点灯するために用いたもの)に使われたようです。
 この地獄の旅、周りに人影もなく、全くの一人だったようですが、そのあたりの現実離れした感覚が、日常を離れた風景とうまくシンクロして、独特の情緒を感じさせます。でも、この旅のコースは、モテるモテないで言ったら、確実にモテない部類ですよね。なかなか、この地獄につきあってくれる奇特な女子はいなさそうです。


小坂俊史クロニクル その4』
 ケーキに味噌を塗るという表現は、以前森ゆきなつ先生のネームを小坂俊史先生が作画するという企画でも使っていましたね。
 たしかにまあ、『わびれもの』みたいな、地味をマイナーで煮しめたような漫画を、掲載してくれる雑誌はそう多くないのかもしれません。4コマ誌の懐の深さを感じます。
 箸休めという言葉がありましたが、MOMOの漫画の中で、『わびれもの』だけは明らかに塩味ですからね。汁粉に付いてくる塩昆布みたいな存在です。