編集日誌になれませんの「4コマ漫画ナツ100」

 よつぎりポテトさん企画の「4コマ漫画ナツ100」に参加することにしました。選考基準は、こちらをご覧ください。


 しかし、困ったことに、私の4コマ誌購読誌数は、月間5冊+αと、とても少ないのです。竹の雑誌は大体買っているけど、芳の雑誌は、タイオリだけが定期購入で、ホームと無印を時々買うくらい。きらら、ぱれっと系は、買ったこともありません。
 100作品を、でっちあげるにしても、他のレビュワーさんと比べて、圧倒的にネタがありません。
 そこで、自分のこれまで読んできた4コマ漫画全体に枠を広げて、4コマによる自分史語りをやってみたいと思います。企画意図とは外れるかもしれませんが。


 まずは、個人的な4コマ体験の源流から。昔の新聞連載漫画からです。


1.フクちゃん(横山 隆一)
 大昔の朝日新聞の連載漫画。子供のころ、家に復刻本がありました。
2.轟先生(秋好馨
 昔の読売新聞に連載されていた漫画。これも子供のころ、単行本を読んだ記憶があります。ヒゲダルマのような先生が出ていたことは覚えていますが、面白かったかは謎。判形は、姉妹社のサザエさんと似た感じだったと思います。
3.サザエさん長谷川町子
 昔の朝日新聞に連載されていた説明不要の国民的漫画。子供のころ、町内にあった小さな書店でも、ずらりと揃っていました。現在は文庫化されています。あまり論じられていませんが、この作品は、中盤で作風が大きく変化します。文庫だと、全45巻の22巻くらいを境にして、前半は、田川水泡の流れを汲む前世紀的なユーモア漫画、後半は、21世紀にも通用するモダンなギャグ漫画になっています。現代にも通じるギャグの革新という意味では、赤塚不二夫の、遥か先を走っていた漫画と呼べるでしょう。
4.いじわるばあさん(長谷川町子
 サザエさんより、ブラッシュアップした笑いが楽しめる傑作。ばあさんを主人公にしていながら、全く辛気臭くない、ドライな感じが痛快です。文庫化されています。
5.フジ三太郎サトウサンペイ
 朝日新聞に連載されていた漫画。都会的で洗練された描線には、後継者が見当たりません。文庫化されています。
6.ペエスケ園山俊二
 朝日新聞に連載されていた漫画で、作者の絶筆。温かみのある作風は、他の追随を許しません。文庫化されています。
7.がんばれゴンベ(園山俊二
 子供新聞に連載されていた漫画。いたずら猿が主人公。正確には8コマ漫画になるのですが、第1巻が猛烈に面白いです。文庫化されているので、古本屋で見かけたら、要チェックです。


 続いては、現在まで続く新聞連載漫画を。


8.となりの山田君(いしいひさいち
 以前の朝日新聞の連載漫画。ジブリ映画にもなりました。徳間書店から、大きな判形の全集が出ています。
9.ののちゃんいしいひさいち
 となりの山田君の続きで、現在も朝日新聞で連載中。時にシュール。単行本は、徳間書店から、全集が出ています。ジブリ映画になって良かったのは、徳間書店から、安定して単行本を出してもらえることですね。
10.コボちゃん植田まさし
 読売新聞で連載中。連載開始当初は、上品な植田まさしが新鮮でした。
11.ウチの場合は(森下裕美
 毎日新聞で連載中。薄味ですが、読み飽きない良い漫画です。もっと注目されるべき作品。単行本化は、遅れながらも続いています。


 次は、70年代の後半から、4コマ漫画の歴史を変えた、黒船的な作品群。


12.バイトくん(いしいひさいち
 プレイガイドジャーナル社より、大判の単行本全3巻。70年代の後半、この1巻が世に出たことで、ギャグ漫画の歴史は塗り替えられました。猛烈に面白い。黒船は、関西からやって来て、やがて、東京のギャグ漫画家たちは、残らず、その波に飲み込まれることになります。歴史的な名著です。古本屋で見つけたら、必ずゲットすること。
13.がんばれ!!タブチくん!!いしいひさいち
 こちらのほうが、メジャーなブレイク作でしょうか。70年代末の社会現象になりました。
14.元祖おじゃまんが山田くん(いしいひさいち、ヘラルド・エンタープライズ/ヘラルドアニメコミックス)
 この作品は、私が個人的に探している作品です。いしいひさいち先生の商業単行本で、おそらく唯一の未読作品。探しているけど、見つかりません。
15.タブチくん(いしいひさいち
 こちらのタブチくんは、85年以降のもの。ヨシダ監督、オカダ、ヒロサワ、クワタなど、数多くの有名キャラクターを輩出しました。スポーツ専門の4コマ誌が、発行されるきっかけとなった、こちらも記念碑的な作品です。
16.ドーナツブックス(いしいひさいち
 いしいひさいち先生の作品を俯瞰する上で、マストなアイテム。
17.かりあげクン植田まさし
 いしいひさいち先生に続いて、70年代末に、植田まさし先生が大ブレイクしました。植田まさし先生がいなければ、現在の4コマ誌は、存在していなかったかもしれません。
18.まさし君(植田まさし
 バイトに明け暮れる大学生を描いた作品。植田まさし先生の作品で、最も完成度が高いです。
19.フリテンくん植田まさし
 4コマ誌発刊の強力なエンジンになった作品。才人が、才に任せて書き散らしている感覚が、痛快でした。


 次は、80年代後半から、1990年代にかけて、4コマ誌を支えた作品群。この期間、『ぼのぼの』が時代を引っ張りました。


20.ここだけのふたり!!森下裕美竹書房版)
 ぼのぼのと並んで、80年代後半以降の4コマ漫画を牽引した記念碑的作品。
21.ゆんぼくん(西原理恵子
 竹書房での西原理恵子の代表作。
22.執念の刑事(業田良家
 『自虐の詩』と迷ったのですが、個人的にはこちら。
23.BUGがでる(いがらしみきお
 80年代後半以降の4コマ誌を牽引したのは、間違いなく『ぼのぼの』でした。でも、『ぼのぼの』は、基本的に8コマ漫画で、4コマ漫画とはいい難いので、苦肉の策で、これを選びました。
24.あしたは晴れっ(なりゆきわかこ
 この時代の中堅作にして、現在の萌え4コマの源流のひとつ。この女の子かわいい、で4コマ漫画を読むのが、この作品あたりから、アリになりました。
25.はりきりさよちゃん(窪田まり子
 『あしたは晴れっ』と並ぶ、この時代の中堅作で、同じく現在の萌え4コマの源流のひとつ。この女の子かわいい、で4コマ漫画を読むのが、この作品あたりから、アリになりました。なりゆきわかこ先生と窪田まり子先生は、同じ時代を戦った戦友と呼べるでしょう。
26.スペースサトル(佐藤さとる
 勢いで笑わす系の漫画。この時代の中堅作。
27.えんかい君(松田まさお
 この時代の植田フォロワーの代表として。こちらは竹書房。単行本は、おしゃれな装丁です。
28.おてんき君(松田まさお
 こちらは芳文社。『ぼのぼの』のようなキラーコンテンツを持たない芳文社のほうが、植田フォロワーに依存する率が高かったようです。単行本は、どうにも垢抜けない装丁。


 続いては、同じ時代の一般誌に連載されていた4コマ作品。


29.伝染るんです吉田戦車
 これも4コマ史に残る作品。不条理系のフォロワーの一時的な隆盛は、徒花っぽかったですけど。
30.ちくろ幼稚園(西原理恵子
 天才、西原理恵子の凶暴な叙情性。
31.傷だらけの天使たち(喜国雅彦
 このころは、喜国先生が、重度のミステリマニアだとは知らなかったです。3作品挙げたけど、小学館ばっかりだな。


 時代は現代に入ります。まずは、4コマ誌以外の一般誌で連載されている、されていた、注目すべき作品群を紹介します。参考のために、連載中のものは、掲載誌も記載します。


32.れんげヌードルライフ(小坂俊史ビッグコミック増刊)
 ラーメン漫画。小坂作品において、最も萌えに近い何かを獲得している作品。中学生のセーラー服エプロンは、魅力的。ラーメンマニアとしても、見所があります。
33.信長の忍び重野なおきヤングアニマル
 タイトル通りの歴史4コマ。始まったばかりですが、滑り出しは上々。野心作。重野先生の代表作になるかもしれません。
34.よんこまのこ(重野なおきすくすくパラダイス
 育児漫画。『今日のふじしま』との併読をおすすめします。
35.のの美捜査中!(重野なおき
 警察4コマ。初期は本格推理的な趣向も。
36.辣韮の皮阿部川キネコ、コミックGUM)
 阿部川先生の代表作。高校の漫画研究会の、あまりにも濃すぎるオタク群像を描きます。暴走に継ぐ暴走。ああ青春。
37.あずまんが大王あずまきよひこ
 説明不要。記念碑的傑作。
38.OL進化論秋月りす、モーニング)
 20年間にわたり、時評的な漫画を描き続けている、この実力の高さ!
39.エレキング大橋ツヨシ、モーニング)
 大橋ツヨシ先生には、ぜひ4コマ誌にも戻ってきていただきたいですね。
40.カラスヤサトシカラスヤサトシアフタヌーン
 やはりカラスヤ先生の代表作は、良くも悪くもこれでしょうね。
41.ここだけのふたり!(森下裕美双葉社版、アクション)
 まんがくらぶのかつての看板が、なんとアクションに移籍。要注目。
42.サナギさん施川ユウキ少年チャンピオン
 中学生漫画。単調な会話が続くのに、会話の内容は、どんどん日常をはみ出していく快感。近年の新人漫画家には、施川系の作家が増えている気がします。『全力委員長』の、のしお先生とか、『チカちゃんは知りたがる』の竹内元紀先生とか。
43.ゲイツちゃん(桜玉吉週刊アスキー
 ビルゲイツ4コマ。「キー」だけで一冊。すごいものです。
44.じーばーそだち(須藤真澄
 爺さん婆さん中心に育てられた子供たちの話。下町系。須藤先生にも、4コマ誌に戻ってきていただきたいです。


続いては、web漫画を2作品。


45.今日のふじしま(藤島じゅん、ブログ)
 子育てとか、身辺雑記とか、いろいろ。ガチで面白いです。
46.ガチ博士のヤンキーラボラトリー(真右衛門、web連載、現在は終了)
 才人、真右衛門先生も、ぜひ4コマ誌への復帰を。


続いては、同人誌作品から1作品。


47.ふたりごと自由帳(小坂俊史重野なおき
 芳文社より単行本化。4コマ部分は、小坂先生分の少しだけですが、特記することが必要な、独特の世界です。ぜひお読みください。


続いては、4コマ誌への連載作品。すでに完結したものから。


48.月刊フリップ編集日誌(小坂俊史
 漫画雑誌の編集部を描いた作品。小坂先生の漫画への愛が詰まっています。
49.とびだせ漂流家族(小坂俊史
 毎回引越しを続ける家族を描いた、ロードムービー的大河4コマ。
50.サークルコレクション(小坂俊史
 なつかしくも愚かしかった学生時代がよみがえる大学生サークル4コマ。ヘンなサークルが満載です。時空の流れが独特で、何回も学園祭を繰り返しながらも進級しなかったのに、終盤4年生に進級。ハードな就職活動が描かれました。前向きだけれど、苦さの残るラスト。青春でした。
51.ひがわり娘(小坂俊史
 毎回シチュエーションを変えてはヘタレる笹木さん。バリエーションが半端じゃないです。
52.サイダースファンクラブ(小坂俊史
 バンド4コマ。成長。ライバル。ヘタレ。青春。
53.ハルコビヨリ(小坂俊史
 ハルコとやっさんの同棲4コマ。ハルコは、4コマ漫画界最強のヒロインのひとりだと思います。
54.千秋しまってこー!!(重野なおき
 今やすっかり時流に乗った熱血ソフトボール4コマ。3巻が近日発売。
55.電脳やおい少女(中島沙帆子
 腐女子の生態をいちはやく描いた先駆的作品。漫画としても、大変に面白いです。
56.ミス&ミセス(阿部川キネコ
 既婚の女性と未婚の女性、それぞれの生き方を肯定する力強い作品。
57.ぴっぴら帳(こうの史代
 いんこの4コマ。歴史的な名作『夕凪の街 桜の国』で有名になった、こうの先生の出発点。こうの先生の4コマも、また読んでみたいですね。
58.かしましハウス秋月りす
 ほのぼの4姉妹4コマ。ほのぼの漫画の、まさに頂点。名作です。
59.うどんランド(寺島令子
 ほのぼの主婦漫画。『かしましハウス』に匹敵する、ほのぼの漫画の傑作です。
60.愛の若草山物語(寺島令子
 OL4コマ。ときどき、すごくオタクなネタになるのが面白かったです。
61.ウワサのふたり(小笠原朋子
 俳優の父と、小学生女子の隠し子。小笠原朋子先生は、ハズレのない、ハイアベレージな作家さんですが、なかでもこれは、クリーンヒット。実に楽しいです。


 続いては、現在4コマ誌に連載中の作品から。単行本未刊のものは、掲載誌を記載。


62.せんせいになれません(小坂俊史
 小学校4コマ。生徒80人以上、教職員20人のプロフィールが設定済み。ある意味最強の設定漫画。男子では田辺順吉、女子では千田明実推し。
63.ささきまみれ(小坂俊史まんがタイムオリジナル
 笹木さんリターンズ。隣室の佐々木麻美は、いつまで登場しないのか。
64.中央モノローグ線(小坂俊史まんがライフオリジナル
 ふたりごと自由帳から発展した、女子モノローグ4コマ。キョウコちゃん萌え。
65.やまいだれ(小坂俊史
 時にブラックな医療4コマ。黒見マコが好き。
66.Good Morning ティーチャー(重野なおき
 3年生に進学し、ゆるやかに大団円に向かう学園4コマ。どんな最終回が見られるか。
67.天使のお仕事(佐藤両々
 産婦人科4コマ。ご本人の出産経験が生かされています。
68.そこぬけRPG佐藤両々
 ゲーム会社の広報4コマ。SM系。ご本人の社会人経験が生かされています。
69.こうかふこうか(佐藤両々
 凶運のOL幸花の4コマ。女性社員の友情が描かれるあたりがミソ。クラッシャー岩井には、いつもひやひやします。
70.しょっぴんブギ(佐藤両々まんがライフオリジナル
 短期集中連載中。浪費癖のあるOL馬場麗の4コマ。割り切って読むと、ある意味爽快です。
71.らいか・デイズ(むんこ)
 小学生4コマ。確かなキャラクターと、ほのかな恋模様。
72.まい・ほーむ(むんこ)
 小学生4コマ。父子家庭もの。現在休載中。
73.だって愛してる(むんこ)
 若夫婦もの。昭和チックな人情話。現在休載中。
74.はいぱー少女ウッキー(むんこ)
 小学生4コマ。野生児系。百合風味。
75.がんばれ!メメ子ちゃん(むんこ)
 ちびっこOL漫画。人間関係に動きあり。
76.シュレディンガーの妻は元気か(中島沙帆子
 理系夫と、体育会系妻の日常。なんだかんだいってラブラブ。普通の理系人間にとっては、夢のような結婚生活。
77.タマさん(森ゆきなつ
 不思議生物満載の化け猫4コマ。学園編と家庭編があります。
78.天使の事情(神仙寺瑛
 11ヶ月の幼児のおしゃべり。哲哉くんがキュート。神仙寺先生は、狭いレンジでのネタ出しに長けている印象。
79.恋愛ラボ(宮原ゆり)
 女子中学生4コマ。群像劇。ストーリー性高し。
80.L16(東屋めめ
 まったり姉妹4コマ。全体にキュート。
81.インスタントエンジェル天子様が来る(安堂友子
 ネタで勝負!な潔い4コマ。
82.ほんわかぱっぱ(古川紀子
 大衆食堂4コマ。ややワンパターン気味だが、独自の情緒はいい感じ。
83.うたうめ(安田弘之
 女子高生友情4コマ。凸凹コンビ。
84.ゆるめいつsaxyun
 ダメダメな予備校生4コマ。本当にダメダメ。
85.クロジとマーブル(富永ゆかり
 ねこねこ4コマ。猫のデフォルメのされ方が好ましい。
86.お父さんは年下(北条晶
 再婚家庭4コマ。良い意味で肩の力が抜けている。
87.夫婦な生活(おーはしるい
 すちゃらか夫婦4コマ。すちゃらかなまま長寿連載。
88.おうちがいちばん秋月りす
 ファミリー4コマ。ネタ選びの確かさはさすが。
89.くりこの日めくりカレンダー(寺島令子
 マンション暮らし4コマ。そろそろ単行本の続巻を。
90.とーこん家族(よしもとあきこ)
 ビンボーだけど心豊かな一家の4コマ。そろそろ単行本の続巻を。


最後は、単行本化を祈念する作品群。4コマ誌から。


91.もしもしぐま(梶原あやまんがくらぶオリジナル
 可愛い絵とシュールな世界観。
92.ママはアイドル(柳田直和まんがホーム
 末永い活躍を願いたいベテラン作家。
93.おかあさんがいっしょ(木村和昭まんがホーム
 超ベテラン作家。小山田いくと同期。ハイレベルな4コマ。
94.ミラクル書店(吉川景都まんがタイムオリジナル
 なかなか単行本化に至らない書店4コマというジャンル。ここで奮起を。
95.花咲だより(高原けんじ、まんがタイムオリジナル
 姉弟4コマ。単行本が発売されたら、10冊買います。単行本化してください。
96.となりのなにげさん橘紫夕まんがホーム
 人気急上昇中。シンプルな絵と、萌えと、青春風味と。
97.森田さんは無口佐野妙まんがライフMOMO
 いろいろと可愛い4コマ。
98.晴れのちシンデレラ(宮成楽まんがライフMOMO
 こちらも可愛い4コマ。
99.リコーダーとランドセル東屋めめまんがくらぶオリジナル
 安定したネタと絵柄。
100.店長の憂鬱(碓井尻尾まんがライフオリジナル
 うまく軌道に乗れば、化ける作家さんだと思っています。