未来歳時記 バイオの黙示録

 諸星大二郎の連作SF漫画。短編6作と幕間劇5作。
 農作物に動物の遺伝子が組み込まれ、ニワトリにヒトの遺伝子が組み込まれ、ほとんどの人間にも、ヒト以外の遺伝子が潜んでいる、バイオ戦争後の混沌とした社会を舞台にした、連作短編集。
 キメラ的な生物にあふれた、諸星大二郎にしか描けない世界。異なる遺伝子を持つ生物が、あるいはロボットと生物とが、ときに殺し合い、ときに強く惹かれあう物語。虚無的でありながら、希望の種は残っています。
 諸星作品では珍しく、ラブストーリーの要素も、かなり強い作品群です。
 狂言回しを務めることになるロボットのサトルくんが魅力的。また、ミナコちゃんも印象深いキャラクターです。
 こういった混沌とした作品が、ウルトラジャンプという比較的メジャーな媒体で発表されたことに、驚きを感じます。集英社も捨てたものではありません。
 諸星大二郎健在なり。デビューから38年たっても、ある意味、漫画の最先端にいます。独自の道を、ひたすらに歩き続けています。


未来歳時記・バイオの黙示録 (ヤングジャンプコミックス)

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