まんがライフ2018年1月号
まんがライフ2018年1月号の感想
『スパロウズホテル』 山東ユカ
クリスマスが定着したのは、年越しの祭祀と組み合わさったため。ただし、農業のサイクルを考えると、温帯において冬に年越しをするのは必至。
地球の自転軸を、公転面と垂直になるよう改変すれば、年越しはそれほど重要な行事にはならなかったかも。現実的に考えて。
主任のディナークルーズのペアチケットは、臼田さんか酒井さんにターゲットを絞ったプレゼントですね。酒飲み二人に当たる可能性や、兄に当たる可能性もあるのに、さすが度胸がある。
『マンドラさんとヒト科たち』 ほずの都
ネッシーはいるかについては、『ドラえもん』の「ネッシーがくる」が秀逸なアプローチをしていると思います。
ネッシーに向かうルートは、疑似科学と写真のトリックを信じる道となりがちですが、「ネッシーがくる」では、写真のトリックを検証し、偽の根拠を排除して、科学的にはありえないことを、最初に子供たちに認識させます。
その手順を踏んだうえで、はじめてネッシーは作品世界に登場します。これによって、ネッシーの存在を支えているのは、疑似科学ではなくて、フィクションの持つ力であることが、理解できる仕掛けとなっています。
フィクションの持つ力自体については、『ドラえもん』を読んでいる子供たちにとっては自明のことですから。
『紡木さん家の場合』 碓井尻尾
この釣りにつきあっても、菊池さんには何のメリットもないのに。文字どおりの意味で、菊池さんは結ちゃんの保護者なのだなあ。
『白衣さんとロボ』 柴
編集さん。推移じゃない。粋だ。
p141右 寒干しは科学的に合理的ではあるものの、ロボのマフラーはいかがなものか。むろん、保温装置を設置するよりも、布を巻く方が合理的な場合もありますが。
p142右 「せんせいになれません」の和泉も、素肌に着ると暖かい冬の白衣を持っていました。白衣さんと和泉は、ベクトルが違うポンコツという感じです。
p143右 もじゃもじゃ頭の男子がいないようですが、彼はお礼を言いたいときには、ひとりで言うタイプだからなあ。
p144左 白衣さんが読んでいる『R.U.R.』は、1920年のカレル・チャペックの戯曲で、ロボットという用語を初めて使った作品です。ここでのロボットは、労働用の人造人間を指します。最初のロボット開発者は、完全な人間のコピーを作ろうとしたのですが、次の開発者は、効率性を追求するために、労働に不要な機能を大胆に省略することで、ロボットの普及に成功します。しかし、それに続く事態では「文明における効率性とは、いったい何を目指すものなのか」が根源的に問われることとなります。
- 作者: カレル・チャペック,Karel Capek,千野栄一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/03/14
- メディア: 文庫
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