小坂俊史先生の4コマ漫画『せんせいになれません』 キャラクター登場回数の集計(8巻まで)
1.はじめに
以下の記事は、小坂俊史先生の4コマ漫画『せんせいになれません』に登場するキャラクターの登場回数および台詞の数をカウントした結果です。
単行本1巻〜8巻までを対象にして、6年1組、6年2組の生徒80人と、教職員8人の登場回数と台詞を数えました。『せんせいになれません』は、竹書房の4コマ漫画誌『まんがくらぶ』で、現在も長期連載中です。
もともと、この企画は、熊谷はさみさんの小坂俊史ファンサイト『トペニワッカ』にあったものです。残念ながら、現在ではネット上にデータが残っておりませんので、パクリ企画ではありますが、ここで続きをお見せしようと思った次第です。
本当は単行本8巻の発売直後ぐらいに公開したかったのですが、作業が遅れまして、この時期となりました。申し訳ございません。
2.生徒の登場回数と台詞数
(1) 6年1組男子
1巻から8巻までの単行本で、6年1組男子の登場回数は、以下のとおりです。
毎月1本の主役という出番が固定している桃山がダントツで1位。2位が東くん、3位が菊池くん、4位が鹿嶋くん、5位が小林くんという順になります。3位〜5位の菊池くん、鹿嶋くん、小林くんは野球部員です。
暗くないオタク系メガネ男子の東くんは、3巻までの活躍が目立ちます。後半には、モブに近くなって、やや出番の減った東くんに対して、特に4巻で活躍したのは、菊池くんでした。このころの菊池くんは、野球部員としての顔だけでなく、クラスのリーダー格としての活躍もありました。
続いて、台詞数のカウント結果を示します。1つのコマに、吹き出しが二つ以上ある場合にも、台詞数は1と数えています。ふきだし外の台詞、寝息(せんなれのキャラはよく寝ています)も台詞にカウントしました。
6年1組男子の場合、登場コマ数と台詞数は、ほぼ同様の傾向となります。
台詞数を登場コマ数で割ると、そのキャラがどれだけしゃべっているかが計算できます。6年1組男子の『しゃべっている指数』は、以下のとおりとなりました。マイナーキャラでは、三永くんが意外としゃべっています。
『しゃべっている指数』が低い国松くん、西くん、根本くんなどについては、やっぱり無口なイメージのキャラだな、と納得できると思います。
(2) 6年1組女子
トップは丸木さん。次いで、2位は宮本さん、3位は白石さん、4位は伊庭さん、5位は竹中さん、6位は大塚さんという順位になります。
6年1組女子は、全般に8巻で登場回数が減るのですが、その8巻以外ではコンスタントに活躍の機会が多いのが丸木さんでした。
忘れ物クイーン宮本さんは、途中、読者投票企画で準レギュラーになった時期があったのですが(2巻のころか)、その時期を除いても、登場回数は多く、トータルで2位となっています。
白石さんは、丸木さんとペアで登場することが多かったキャラです。竹中さんは給食委員としての出場が多かった模様。
伊庭さんと大塚さんは、8巻には出番がありませんでしたが、4位と6位と堂々の成績です。この2人は、2巻、3巻、5巻で、特に活躍しています。
だいたいの傾向は、登場コマ数と同様です。ただし、出番の少ないキャラは、台詞数がさらに少なくなっているという傾向があります。
登場コマでしゃべっている確率は、以下のとおりです。
丸木さんが60%を超えているのに対して、40%を割っているのは、石田さん、草壁さん、瀬田さん、土橋さん、村下さん。
草壁さんと村下さんの無口さが際立ちます。なお、瀬田さんは、転校していって『最初からいない』という謎のキャラです。
(3) 6年2組男子
1巻から8巻までの6年2組男子の登場回数は、以下のとおりです。
登場回数では、1位が戸田くん、2位が岡部くんでした。教卓の前に席があり、モブとして登場することも多い戸田くんが、登場回数では卓越しています。そして、3位には古賀くんが入り、6年2組トップスリーが、文字通りトップスリーとなりました。
次いで、1巻ではレギュラーだった田辺くんが4位と意地を見せました。
5位は技巧派ヒーローの溝渕くん、6位は憎み切れない優等生の沼倉くんでした。7位の森本くんは、席が最前列なので、モブでの登場が多い少年。8位岡田くんは、戸田くんと一緒に怒られることの多い劣等生です。
登場回数ゼロの西園寺佐諭くんは、いつまでたっても転校してこない転校生。
台詞の数では、岡部くんが1位、戸田くんが2位となりました。教室の席の配置上、モブとして登場することが多いキャラは、台詞数では順位が下がります。登場数では7位の森本くんは、台詞数では12位となります。
3位古賀くん、4位田辺くんはそのまま。登場数6位の沼倉くんは、主役になるネタが多いので、台詞数では5位にアップしました。
『しゃべっている指数』では、トップは沼倉くん。次いで、岡部くん、田辺くんとなりました。モブでの登場も多い戸田くんは平均的な数値。
教室最前列にいて、モブでの登場が多い森本くんが最下位です。おとなしい青木くんと、戸田くんの隣で、黙って叱られていることの多い岡田くんも、下位となりました。
主役クラスの生徒が集う6年2組男子ですが、巻によって、出演傾向には違いがあります。生徒のキャラクターデザインが固まった2巻と、後半の8巻の登場コマ数を比べてみましょう。
2巻では、全キャラに10回程度の登場を割り振っており、均等性が高いのですが、8巻になると、登場するキャラとしないキャラのコントラストがはっきりしてきます。
6年2組男子の登場回数、台詞数における岡部くん、戸田くんの割合を調べてみると、以下のとおりとなりました。
登場コマ数をみると、5巻ごろまでに、2人の出番が増えていき、その後は6年2組男子の総登場数の4〜5割になっています。
台詞数をみると、4巻から5巻の間に大幅に増加し、7巻、8巻では、6年2組男子の台詞数の半分以上を占めるようになりました。
(4) 6年2組女子
1巻から8巻までの6年2組女子の登場回数は、以下のとおりです。
席が最前列で、モブでの登場も多い相沢さんが、ダブルスコア以上のダントツで1位となりました。
2位には優等生でツッコミ担当の宇津井さん、3位にはにぎやかし担当の中野さん、4位には、おまんじゅう少女、千田さんが入りました。千田さんは、相沢さんとペアでの出演も多いですね。
5位はナマイキ少女の品田さん、6位は後半に登場が減った水木さんとなりました。
台詞数でも相沢さんが1位ですが、登場コマ数ほど圧倒的ではありません。2位に宇津井さんが迫っています。
口が達者な品田さんがランクアップして、千田さんと同率の3位となりました。
気の強いキャラが上位に来るようで、宇津井さん、品田さんが60%越え、水木さんも60%程度になっています。水木さんの「ぱっつん前髪は強気」というイメージは、『ハルコビヨリ』の主役、永井ハルコのキャラクター誕生にも、深くかかわっている気がします。
佐藤さん、月山さん、縄田さん、野崎さんといった、おとなしいキャラは20%以下。
そして、特筆すべきことですが、連載15年、主人公河田が担任のクラスに居ながら、木原亮子さんは、いまだに一言の台詞もありません。
単行本8巻では本編に登場しなかったキャラに、カバー裏で一言ずつしゃべらせているのですが、木原さんは、ここでも拾われませんでした。何故なら、メガネ投票(47ページ)の票の読み上げの台詞に、間接的に登場しているから(それだけ)。静かなる第3のメガネ!
(5) 生徒全体の傾向
6年1組男子、女子、6年2組男子、女子の1巻あたり登場回数、台詞数をグラフにすると以下のとおりとなります。
多くの場合、登場回数は、6年2組男子 > 6年2組女子 > 6年1組男子 > 6年1組女子となります。ただし、6年1組男子は桃山を含む数字なので、桃山を除くと、ほぼ6年1組女子と同程度です。
4巻においては、6年2組女子の台詞数が多く、6年2組男子に肉薄していました。
8巻では、全体に登場する生徒の数は減りましたが、6年1組女子を除いて、台詞の数のほうはあまり減っていません。モブが若干減ったということでしょう。
同じデータを棒グラフにすると、以下のようになります。名前のある生徒の総登場数は、多い巻では800コマ/巻以上となりますが、8巻では、500コマ/巻強まで減っています。
生徒の台詞が一番多いのは、6巻でした。
登場コマでしゃべっている確率の推移は以下のとおり。
6年1組は桃山がいるので、やや変動が小さい傾向にあります。
全体に、3巻ではしゃべっている確率が低く、モブキャラが多いことを示し、8巻ではしゃべっている確率が高く、モブキャラが減ってきたことを示しています。
また、ここからは個人的な趣味のグラフになるのですが、横軸に対数目盛で総登場コマ数、縦軸に登場コマでしゃべっている確率をプロットすると、2次元平面に生徒の個性がある程度表現できます。
上に行くほど主張が強いキャラ、下に行くほど地味なキャラ、右に行くほどメジャーなキャラ、左にいくほどマイナーなキャラになります。
単行本3巻の付録に、少しだけ近い感覚を味わっていただけるのではないでしょうか。
3.メジャーなキャラたちの動向
(2) トップスリーと田辺くん
連載の初期はレギュラーだった田辺くんと、現在ほぼレギュラーの岡部くん、戸田くん、古賀くんの登場コマ数と台詞数の推移をみてみましょう。
登場数では、戸田くんの伸びが著しいです。台詞数では、4巻までは岡部くんの台詞のほうが多かったのですが、5巻以降は、岡部くんと戸田くんは、ほぼ同レベルの台詞数で並んでいます。
田辺くんは、5巻で登場数が底を打ち、地道に病気怪我担当として活躍しています。8巻では少し台詞が増えました。
(3) その他のメジャーキャラの動向
6年1組の東くん、丸木さん、6年2組の溝渕くん、相沢さん、宇津井さんの登場回数、台詞数の推移は以下のとおりです。
東くんと宇津井さんの登場数ピークは3巻、相沢さんの登場数ピークは4巻、丸木さんと溝渕くんの登場数ピークは7巻です。宇津井さん以外が8巻で登場回数が減っています。
台詞数では、3巻で東くん、宇津井さんが、相沢さんを超えています。
(5) サイダースの活躍
サイダースメンバーの登場コマ数と台詞数は、以下のとおり。
台詞数では、2巻が最小ですが、この時期は『サイダースファンクラブ』の読み切りと連載の狭間の時期です。『まんがライフMOMO』での連載が始まると、にぎやかな音楽好きというキャラの浸透とともに、登場数が増えていきました。登場コマ数、台詞数とも、6巻がピーク。
(6) 登場回数に波のある生徒たち
メジャーキャラなのに、出番に波のあるキャラクター、水木さん、伊庭さん、大塚さんの登場コマの推移。
彼女たちは、相沢さんや丸木さんといった主役級の生徒とは、やや距離のある感じで、かつ主役もはれる存在。したがって、相沢さん、丸木さんの出番が増えると、登場コマが減る傾向があります。
4.教職員の登場回数と台詞数
以下は、河田、池田、和泉、沢口と藤田先生の登場回数と台詞数の推移です。
河田と池田は、5巻に登場回数が減っているようですが、これは単行本のページ数が減って、収録本数が、それまでの約225本/巻から、約200本/巻になったため。
和泉と沢口の出番は微増傾向。5巻の終わりで和泉が音楽教師を兼任し、6巻の終わりで沢口が喫茶店を開業しましたが、その後の出番はわずかに増える程度でした。
校長、教頭、節子先生の登場コマ数、台詞数の推移は以下のとおり。教頭の出番は順調に減っています。節子先生の出番は、7巻、8巻に来て増えているなど、なかなかしぶとさを見せています。
5.総合すると
生徒と教職員の登場回数を総合すると、以下のとおりとなります。
登場する総キャラクター数は、収録本数に比べ、3巻が多く、8巻が少ないという傾向がありました。しかし、変化の幅は小さく、ほぼ1,700人/巻前後となっていて、作風が安定していることを示しています。
6.おわりに
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。お疲れ様でした。
酔狂な企画ではありますが、『せんせいになれません』単行本が出るたびに、再集計を行って、またブログにアップしていきたいと思っています。
今後とも宜しくお願いいたします。
この記事のpdf版と、使用したExcelファイルを添付しておきます。
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