『せんせいになれません』のキャラクター登場回数(9巻まで)
1.はじめに
2014年12月27日に、小坂俊史先生の4コマ漫画『せんせいになれません』の単行本9巻が発売になりました。
このブログでは、以前(2014年3月3日)にも、『せんせいになれません』に登場するキャラクターの登場回数と台詞数をカウントし、まとめた記事を掲載いたしました(こちら)。このときの集計対象は、単行本の1巻〜8巻でした。今回の記事では、単行本9巻の発売を受けて、9巻ぶんを追加したカウント結果を、改めて発表することといたします。
カウントの対象については、6年1組、6年2組の生徒80人と、教職員8人の計88人となります。
なお、もともとこの企画は、以前、熊谷はさみさんの小坂俊史ファンサイト『トペニワッカ』で行われていたものです。残念ながら、現在では、ネット上にそのサイトのデータが残っておりませんので、パクリの企画ではありますが、その続きをやってみようと考えた次第です。
- 作者: 小坂俊史
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2014/12/27
- メディア: コミック
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2.特記すべきこと
9巻では、生徒の登場回数や台詞数の通算ランキングには、大きな変動はありませんでした。
ただ、特記すべきことがあります。
主人公の河田一聖の担任するクラスにいながら、1巻〜8巻で、一言も台詞のなかった木原亮子さんが、ついにしゃべりました! しかも、いきなりの「結婚します」宣言(61ページ)。
3.生徒や教師の登場数の全体的な推移
(1) 生徒の登場コマ数
6年生生徒の全体的な登場コマ数について、1巻〜9巻までの推移を整理すると、以下のようになりました。
生徒のキャラクター設定が完成する前の1巻を除くと、9巻は、これまでで最も生徒の登場コマ数の少ない巻となっています。
9巻での生徒登場コマ数は、合計で400コマ程度でした。800コマを超えていた2巻の、ほぼ半分となっています。直前の8巻と比較すると、河田の受け持つ6年2組生徒の登場コマ数が、大きく減っていました。
単行本の全コマのうち、どのくらいの割合で生徒が登場していたかをまとめると、以下のようになりました。なお、集計の都合上、1コマに2人登場している場合は、200%とカウントしています。
6年2組生徒の登場割合は、6巻をピークにして低下していることが確認できます。9巻でも、その傾向が続きました。
6年1組男子の登場比率は、比較的安定しています。これは、コンスタントに登場するレギュラーキャラクターの桃山がいるためです。
なお、生徒の登場コマ数のピークは2巻だったのに、登場比率では2巻がピークとなっていないのは、巻を追うごとに単行本ページ数が減っているためです。単行本1巻は132ページありましたが、9巻では108ページとなっており、2割程度減っています。
(2) 生徒の台詞数
一方、生徒の台詞数のカウントは、以下のとおりとなりました。
生徒の台詞数についても、9巻では大幅に少なくなっています。
台詞数については、6巻がピークとなります。2巻、3巻では、登場コマの割に台詞が少ない傾向にあり、モブとしての生徒の登場が多かったことになります。
登場コマに台詞がある割合(しゃべっている割合)を整理すると、以下となりました。
8巻は生徒のしゃべっている割合が高い巻でしたが、9巻では、その割合が低下しています。
生徒がしゃべっている割合を、通算して平均すると56%でした。ただし、後述しますが、生徒のキャラクターによって、この割合には大きな差があります。
6年2組のほうがしゃべっている割合が低いのは、河田が主役となるエピソードにおいて、モブになることが多いためと考えられます。
(3) 教師の登場コマ数
レギュラー教師陣である、河田一聖、池田清、和泉なな子、沢口正子の4人と、準レギュラーの藤田先生の登場コマ数の推移を整理しました。
9巻では、教師陣の登場コマ数が、5巻以降では最も多くなっていました。9巻においては、生徒のエピソードよりも、教師のエピソードのほうが、比率が高い傾向にあったようです。
教師陣のなかでは、和泉の登場コマ数が、特に増えています。
単行本の全コマのうち、各教師が登場するコマの割合を整理すると、以下のようになりました。
8巻と比較すると、9巻では、池田、和泉、沢口の登場割合が増加しています。
和泉と沢口については、1巻以降、巻が進むにつれて、徐々に登場比率が増加しており、9巻では特にその傾向が顕著でした。
(4) 教師の台詞数
教師の台詞数の推移は、以下のとおりとなり、登場コマ数と似た傾向にありました。
なお、教師陣では、登場コマでしゃべっている割合は平均で86%となっており、生徒に比較すると、かなり高い傾向にあります。
4.生徒の登場コマ数と台詞数のランキング
5.メジャーキャラクターの登場回数
(1) トップスリーと田辺くん
メジャーな生徒キャラクターとして、連載初期にレギュラーだった田辺くんと、6年2組において、河田からトップスリーと呼ばれる岡部くん、戸田くん、古賀くんについて、登場コマ数と台詞数の推移をみてみました。
結果は以下となります。
4人とも、9巻では登場コマ数と台詞数を減らしていました。特に岡部くんは、登場コマ数と台詞数が、前の巻の半分程度になっています。
岡部くんと戸田くんは、元気ないたずら者ですが、戸田くんがもっぱらボケを担当するのに対し、岡部くんはボケとツッコミ(主に河田への)をこなせるオールマイティーキャラクターです。しかし、9巻では、河田が大規模なトラップを、あまり生徒に仕掛けなかったことや、和泉がボケ担当となることが多かったことなどによって、岡部くんの出番が減った模様です。
なお、戸田くんと岡部くんは、台詞数は同程度ですが、戸田くんのほうが登場コマ数が多い傾向にあります。これは、戸田くんの席が、教壇のまん前にあるため、モブとしての登場も多いことによります。
(2) 二番手キャラクターたち
比較的登場回数が多い生徒として、6年1組から東くん、丸木さんの2人と、6年2組から溝渕くん、相沢さん、宇津井さんの3人を選び、登場回数と台詞数の推移をまとめてみました。
9巻では、これらのキャラクターも、登場コマ数や台詞が減っています。
相沢さんの場合、登場コマ数は4巻がピークで、以降では減少傾向にあります。ちなみに、前項の岡部くんと戸田くんの登場コマ数のピークは、6巻〜7巻となっており、相沢さんよりもピークが遅れていました。ただし、台詞数については、相沢さん、岡部くん、戸田くんとも、ピークは6巻にありました。
比較した5人のなかでは、登場コマ数において、相沢さんが飛びぬけています。しかし、台詞数ではそうでもありません。8巻と9巻では、宇津井さんの台詞数のほうが多くなっています。
これは、相沢さんの席が、戸田くんと同じく教壇の前にあって、モブとしての登場が多いためです。ただし、彼女は、教壇の前にいることで、遅刻や手抜きをする河田に対して、軽めのツッコミをするという役割も、きちんと果たしています。
なお、河田への重めのツッコミについては、もっぱら宇津井さんの役割となっています。
(2) レギュラー以外の教師陣
校長、教頭と、連載初期に準レギュラーだった節子先生について、登場コマ数、台詞数の推移をまとめました。
校長の登場は、最近の巻では平均的なものでした。教頭の登場はやや多かったのですが、節子先生の登場は1コマだけでした。
教頭や節子先生の役割は、藤田先生と話を合わせられる真面目なベテラン教師としてのものであるため、比較的代替がききます。そのために教頭と節子先生の登場数には、相互補完的な傾向があります。
(3) 野球部の活躍
西の台小学校野球部の6年生部員たち6人の登場回数を整理すると、以下のとおりとなりました。
9巻では、登場コマ数が最小だった8巻よりは、登場回数が増えています。ただし、野球部としての活躍は少なく、登場コマの多くは、教室最前列にいてモブとしての登場が多い森本君によるものです。
台詞数については、6年1組の小林くん、嶋田くんが健闘しました。
(4) サイダースの活躍
小坂俊史先生のガールズバンド4コマに、『サイダースファンクラブ』という作品があります。その漫画の主役バンド、サイダースのメンバーは、6年2組の女子生徒、中野やよい、友沢むつき、米良しわすが成長した姿だと考えられています。
彼女たち3人の『せんせいになれません』での登場回数を整理すると、以下のとおりとなりました。
『サイダースファンクラブ』は、最初は不定期の読み切りで、後に『まんがライフMOMO』で連載され、単行本2冊で完結をしています。
サイダースメンバーの登場回数には波があって、読み切り時代には登場が多く、MOMOへの連載中には出番が減り、連載の終了後には、また出番が増えるという傾向がみられました。ただ、最近の巻では、また出番が減ってきています。
ただ、中野さんの「悪乗りをする女子」としてのキャラクターは、なかなか汎用性が高く、ネタの傾向によっては、今後もいい働きをすることでしょう。
6.通算集計結果
7.登場コマ数としゃべっている割合の分布
生徒キャラクターについて、どの程度登場しているか、登場コマでどのくらいの割合でしゃべっているかを分布グラフにしてみました。
横軸に対数目盛で通算登場コマ数、縦軸に登場コマでしゃべっている割合をプロットすることで、2次元平面に生徒の個性を示そうというグラフです。
上に行くほど主張が強いキャラ、下に行くほど地味なキャラとなり、右に行くほどメジャーなキャラ、左にいくほどマイナーなキャラになります。
単行本3巻の付録に少しだけ近いものを目指しました。
しゃべっている割合は、生徒によって10%台だったり、80%台だったりします。モブとして登場しやすい席にいる戸田くん、相沢さん、森本くんは、しゃべっている割合については低めとなります。また、4コマの主役になりにくい地味なキャラクターたちも、しゃべっている割合が低くなる場合が多いようです。
8.おわりに
最後までご覧くださいまして、ありがとうございます。
小坂俊史先生の意向では、次の10巻を最終巻としたいとのことですが、そこで完結するにせよ、しないにせよ、単行本10巻が発売されましたら、また再集計を行って、記事にしたいと考えております。宜しくお願いいたします。
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