エコール・クリオロのSensetion（センセーション）
千川のパティスリー、エコール・クリオロの今年の冬の新作チョコレートセットは、Sensetion（センセーション）。フランススタイルの8個のボンボン・ショコラ（粒チョコレート）のセットです。
エコール・クリオロは、業務用高級チョコレートメーカー、ヴァローナ社の技術指導員だった経歴を持つフランス人パティシエ、サントス・アントワーヌ氏が日本で開いたパティスリーです。通年販売のチョコレートのほかに、毎年、冬には新作のチョコレートセットが発表されます。
Sensetionのセット内容は、フレーズ（いちご）、カフィア・ライム（こぶみかんの葉）、ココ・シトロンヴェール（ココナッツとライム）、パッション・フルーツ、プラリネ（キャラメリゼしたヘーゼルナッツを砕いたクランチ）、キャラメル・フランボワーズ、チャイ（スパイス・ティー）、ヴァニラの8種。
いちごなどのフルーツは、ジュレ（ゼリー）ではなく、風味づけしたガナッシュ（生クリームやバターを加えた柔らかいチョコレート）にしてあります。香料ではなく、実際の果物を調理して作られているので、酸味がフレッシュです。口に含むと、滑らかなチョコレートの口どけの後に、素直に果物の後味が残ります。
外側のチョコートコートの薄さと、内側のガナッシュの口どけの良さ、チョコレートとフレーバーの風味の素直さ、コンセプトの明快さに優れています。
コンセプトについて言うと、このセットには、フルーツ、ナッツ、スパイス、キャラメル、アジア、ヨーロッパといった要素があり、それらが重層的に構成されて、1つの商品になっています。コンセプトの重なり合いは、下の表に示したようになっていて、1つの要素が2つ以上のチョコレートで共有されています。
フルーツにやや重点を置きながら、エキゾチックなもの、ヨーロッパの伝統的なものが、バランスよく配されています。ガナッシュが主ですが、プラリネ（ナッツクランチ）や、キャラメル風味のものが、良いアクセントになっています。
| 名 前 | フルーツ | ナッツ | スパイス | キャラメル | アジア | ヨーロッパ | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| フレーズ | ○ | ○ | |||||
| カフィア・ライム | ○ | ○ | |||||
| ココ・シトロンヴェール | ○ | ○ | ○ | ||||
| パッション・フルーツ | ○ | ○ | |||||
| プラリネ | ○ | ○ | ○ | ||||
| キャラメル・フランボワーズ | ○ | ○ | ○ | ||||
| チャイ | ○ | ○ | |||||
| ヴァニラ | ○ | ○ |
ボンボン・ショコラには、ガナッシュをカットし、チョコレートの滝を通して、ごく薄く硬いチョコレートでコートしたフランススタイルと、型を使ってチョコレートでシェルを作り、中に柔らかいセンターを詰めるベルギースタイルがあります。
フランススタイルの長所は、外側の硬いチョコレートの層を薄くできることです。
軽く歯を当てると、カリッと外側のコーティングのチョコレートが割れて、スッと内側のガナッシュが口に溶けていくのは、フランススタイルならではの醍醐味です。
ベルギースタイルの長所は、美しい形に出来ること、カットできないような液体を詰めることが出来ることです。しかし、シェルが厚くなりすぎると、ゴディバのボンボン・ショコラのように、鈍重で野暮ったい食感になります。
ただし、型を使ったチョコレートでも、技術が高ければ、シェルを薄くして食感を良くすることは可能で、ヴィタメールのショコラなどでは、それが実現されています。洋酒とガナッシュの組み合わせが好きならば、ヴィタメールのボンボン・ショコラはおすすめです。
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