密室蒐集家


密室蒐集家 (ミステリー・リーグ)

密室蒐集家 (ミステリー・リーグ)


 大山誠一郎の連作短編ミステリ。神のごとき名探偵が、謎を把握した瞬間に謎を解く。
 問題編のすぐ直後に、解答編が示される構成となっており、「推理パズル上級編」に近い感覚を覚えます。とはいえ、かなり無理めの複雑なトリックは、小説という形でないと表現が難しいもの。特に、事件発生直後ならではの関係者の錯誤が効果的に使われ、魔術的な現象を生み出しています。
 事件の背景は1937年から2001年。時代を追っても歳を取らない名探偵と言うことで、ホックの『サイモン・アークの事件簿』を思わせます。それぞれの時代でないと成立が難しいトリックもあり。
 最後の1本なんか、「すぐばれるだろう」と思うし、今の犯人なら「ばれるからやらない」と思うのですが、この時代ならば、ギリギリ犯人が危険性を知らないことも考えられ、やはり絶妙です。


サイモン・アークの事件簿〈1〉 (創元推理文庫)

サイモン・アークの事件簿〈1〉 (創元推理文庫)