愚行録

 貫井徳郎の長編ミステリー。
 一家四人の惨殺事件に関連して、被害者の友人知人にインタビューが行われ、それによって、被害者夫婦の人となりを浮かび上がらせるという作品。で、その友人知人が、嫌なやつらで、被害者の夫婦も、実に嫌な人物なんです。まさに愚行録。
 それなのに、リーダビリティーは極めて高く、すらすらと、とても面白く読めます。嫌な人間の、嫌な行動を読むという、ちょっとゆがんだ独特の楽しみがあります。
 全編が、様々な人々のモノローグで構成された作品ですが、きちんとフーダニットにもなっており、物語の着地点には、鮮烈な驚きがあります。


愚行録 (創元推理文庫)

愚行録 (創元推理文庫)