矢上教授の午後
森谷明子の長編ミステリー。
多視点のカットバックで、一見平穏な日常が、謎の気配を含んでスリリングに展開する前半と、大学の古ぼけた研究棟が、なんと吹雪の山荘と化してしまうユニークな後半。
殺人事件のフーダニットとして読むと、ちょっと物足りないですが、それ以外にも、いくつもの謎が重層的に絡み合っているので、読み応えがあります。
カバーでは、英国風コージーミステリーとして紹介されていますが、コージーの要素は、それほどない気がします。そのかわりに、大学ミステリーであり、吹雪の山荘ミステリーであり、(ネタバレ)動物ミステリーであり、といろいろな要素が詰め込まれた作品となっています。
大学の研究棟での場面が緊迫したところで、のんびりした和菓子屋の風景が、巧みに差し込まれるのが効果的でした。
- 作者: 森谷明子
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2009/07/10
- メディア: 単行本
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