今月のまんがくらぶオリジナル

まんがくらぶオリジナル2012年9月号の感想


『しばいぬ子さん』 うず
 普通の人間が、特定の姉弟にだけは柴犬に見えているというホラー性がひらめく時、瞬間風速的に面白くなります。普段はヌルいだけだけど。ホラー性の発展という意味でも、今後のストーリー展開への期待という意味でも、黒犬さんの登場は興味深いです。


『つくねちゃん+30』 ひらふ
 「周回遅れ組」 3コマ目、飲んでいるドリンクがゴーヤ。アラサー独身は飲むものも苦いぜ。


『はるまちダンス』 佐藤両々
 さっちん、おテルちゃんに嫉妬と思いきや、トメちゃんとの付き合い方には、一日の長があった模様。天然天才少女。
 「志望理由」 おテルちゃんの勘の良さ。
 キャラクターの顔の輪郭が、以前よりはっきりしたような印象です。


『ちいちゃんのおしながき 繁盛記』 大井昌和
 国産うなぎの原価1匹2000円かあ。


『ラジ娘のひみつ』 小坂俊史
 「まあそれも面白い」 「つるし上げ」、「天の声」を伏線に、物理的に吊るされる。「なんだバカヤロー」が今後への伏線。
 「顔まで似てきた」 1コマ目、ADの「ちっ」が効いている。ディレクターの臓腑をえぐるマネージャー。
 「目ざといファン」 小坂作品には珍しい無言オチ。
 「とても自然に」 とても自然に人のダークサイドを覚醒させる才能。
 「誰の本音かな」 珍しく勤勉に仕事をする構成作家。あいりの代弁ができるほど、その闇は深く。
 「やっぱりそうだったんだ」 なんというか一種のプレイ。あいりの逆羞恥プレイ。もっとののしって。
 「限界までつっこんだ」 パニックで発した突っ込みが、物理的にダメージを与える突っ込みに。
 「女ってやつは」 YMG48は、山口48なんでしょうね(小坂先生の出身が山口県)。それにしても、池手内子(いけてないこ)と影納推子(かげのうすいこ)とはひどい名前。よくこんなネガティブなネーミングが思いつくなあ。そういえば、ラジオ局名のTMZって、担当がTM澤さんとか、そういうことなのかなあ。
 「警備のお仕事」 1コマ目、「そろそろかなぁ」と冷静な佐保さんが怖すぎる。確かに座っていればいい。ボコボコにされるけど。パーソナリティーがキレキレ、マネージャーがキレキレ、放送作家がキレキレで、ゲストのマリオネットデスメタラーズもキレキレ。小坂先生の漫画では、デスメタル=怖いというシチュエーションが多いようです。『サークルコレクション』とか。なにかトラウマがあるのでしょうか。
 「余計な気づかい」 痛々しいネタを送るハガキ職人の孤独が、とても痛々しい。
 「スケブ2冊目」 イベントが終わってからも厄介。今年と同じ苦労を毎年するのは避けたいディレクターの心情はよくわかる。神経性下痢→クソイベントの流れが痛快。


『S・Aで会いましょう』 胡桃ちの
 先月バアさんが記憶をなくしていたことと、息子が女に変身することに、合理的な因果関係を示せるのでしょうか。このまま投げっぱなしになる予感がひしひしと。行き当たりばったりをしているだけなら、「作家も編集も仕事しろ」と思うだけです。


『ハルカな深宇宙』 たなべひろき
 次回最終回。この本数では単行本は無理か。いきなり1年後にワープしていて吃驚。人工衛星が完成して、次回は打ち上げ。どうせ終わるのですから、最後は思い切りドカンと派手に壮大にやってほしいです。


『ピンクそらりんご』 みずしな孝之
 背景がまともに描けない漫画家に、この題材は無理だったのでは。
 繰り返しになりますが、とにかく情報が足りていません。建物の中がどうなっているのか、部屋の中がどうなっているのか、読者にはさっぱりイメージできません。