スカイ・クロラ

 押井守監督のアニメ映画。
 少年少女のまま、歳をとらないキルドレが、ショーとしての空戦に明け暮れる物語。
 原作小説は未読です。バイオ技術で生まれた生物兵器キルドレには基本的人権が無いようで、ひたすら日常生活と戦闘とを繰り返します。
 「言いたいことは分かる」という映画でした。閉塞感のなかで、満たされないままに、終わらない日常を生きている若者に、あがけ!というメッセージを送っています。
 あがいたからといって、道が開けるという保証はないけれども、あがくことによってしか、新しい道が開ける可能性はないよ、と。
 そして、新しい道を歩く方法について、古い世代は、新しい世代に、懇切丁寧に教えるつもりは無いよ、と。
 キルドレにとって、新しい道とは、例えば、ティーチャーを撃墜することで、開けるものなのかも知れません。ただし、映画の中では、「その先」は描かれません。「その先」は、観客個人個人の人生で見つけてくれ、と言っているようです。
 このメッセージが、映画を観ることによって、言葉で語るよりも、深く心に響くかどうかは、観る人によるでしょう。その意味では、観る人を選ぶ映画です。