まんがタイムオリジナル2016年3月号

まんがタイムオリジナル2016年3月号の感想
http://www.manga-time.com/link/data/magazine_09.html

らいか・デイズ』 むんこ

 らいかと竹田の寝ぐせが、サイボーグの003と009のようだ。

『あかるい夫婦計画』 井上トモコ

 「それぞれの居場所」 長いこと読んでいるけれど、スーツ姿のだいすけって、意外なほどに印象になくて新鮮。

『ぎんぶら』 安堂友子

 「3強」 「動物と子どもとグルメ」と聞いて、「仔牛のロースト」しか頭に浮かばなかった。
 「体当たり演技」 3コマ目、顔を描かずに顔を描く安堂先生のテクニックが、トリックとして作用したかたち。
 「奇跡体験」 輸入物が増えて、魚屋で鮭の顔を見ることもほとんどなくなりました。昔は笑い話でしたが、個人的には、本当に切り身が泳いでいるようなイメージになってしまっています。マスなのか、鮭なのかも、あいまいなので。そして、68〜69ページの見開きの各話最終コマでは、クリオネの4連続逆さコケという地味な大技が。

『たよスポ』 王嶋環

 囲み取材では、自社の質問への回答だけを記事にするわけではありませんから、記者たちはライバルでもあり、共同作業者でもあるのでしょうね。

『おかん』 小坂俊史

 「本懐」 スキーはできぬが腹はスキー。
 「大赤字なのに」 神か、菩薩か、疫病神か。
 「自慢の部屋なのに」 ホテルで一番いい部屋ということよりも、支配人さんじきじきに、部屋まで案内してくれるということに、ゴージャス感を覚えます。
 「いいところ」 さすがに取材には行っていないでしょうが、小坂先生は、こういう場所は嫌いじゃなさそう。
 「無」 風景の切り取りかたと、人物の配置に、関連性がみられない画面を重ねることによって、風景と人物との関係性(興味)の薄さを、無言のうちに表現しています。
 「密室にて」 すみません。3コマ目、サツキに目を取られて、おかんが暴れているのを見ていませんでした。4コマ目の濡れ髪の表現は、シンプルだけど的確だなあ。
 「昭和の漫画」 1コマ目で布団がふかふかを強調し、オチを成立させる。
 「この状況下で」 次の町に行くか、ダンジョンを攻略するか、というRPG的な選択肢。
 「わらにもすがる」 これまで、支配人さんと番頭さんを、たびたび登場させてきたことが、オチの面白さに有効に機能しています。あんなに真面目だった人たちが、変なことをしているよ、というおかしみ。
 「いやー残念だなー」 よっぽど腕がなかったのねー。
 「そら百年続くわ」 一見、スキー場の救世主のようですが、冷静に考えると、やっぱり「何もしてない」。

北斎のむすめ。』 松阪

 「声で悩殺」 女郎屋では武士は刀を預ける規則なので、その前の茶屋での出来事かな。
 「確かすぎる審美眼」 葛飾応為(お栄)は、西暦1800年ごろに生まれた人物なので、作中の時間は1810年代。したがって、二百年後というのは、まさに今。
 「忍び寄る恋は曲者」 実際の吉原は、お歯黒どぶに囲まれて、遊女の脱出は極めて困難でした。そんな状況で、吉原から忽然と消えた遊女の謎を追う小説がありまして、松井今朝子先生の『吉原手引草』です。初心者でも吉原に詳しくなれて、謎解きもドラマティック。直木賞受賞作です。

吉原手引草 (幻冬舎文庫)

吉原手引草 (幻冬舎文庫)

 「告白」 夜桜美人図は、メナード美術館(愛知県小牧市)に所蔵されているようですね。(こちら。

『迷走乙女の文学会議』 吉村琉香

 菅原孝標娘も、『更級日記』が『源氏物語』と同じく、千年後まで残るとは考えなかったでしょう。何かが残ったから価値があるわけではありませんが、「何も残せなかった」という悔恨は、実は正しくない場合もあるようです。