バイバイ、エンジェル

 笠井潔の長編推理小説
 1979年に発表された、日本の本格推理小説における記念碑的作品です。今頃になって読みました。
 舞台はパリ。フランス在住経験のある著者ならではの臨場感で読ませます。
 ヴァン・ダイン的な連続殺人事件。あまりに人が死にすぎるので、生き残った者が犯人(当然ですが)というところも、初期ヴァン・ダイン的に感じます。ロジカルな本格推理小説の傑作です。
 最初の殺人で、死体の首が切断された理由が、すごくスマートなのが印象的でした。
 物語的には、ナディアがちょっと邪魔に感じます。
 (以下はネタバレ) 連合赤軍事件への対峙が、裏のテーマになっており、その意味では、大江健三郎の『河馬に噛まれる』を思い起こさせます。


バイバイ、エンジェル (創元推理文庫)

バイバイ、エンジェル (創元推理文庫)