少年少女飛行倶楽部

 加納朋子の長編青春小説。ミステリーではありません。空を飛ぼうとする中学生の話です。
 著者のあとがきから、一部を抜粋します。


「底抜けに明るい、青春物語が書きたくなりました。それも中学生が空を飛ぶ話が。
 それは全く唐突に、降って湧いたような衝動でした。理由は私にも定かではありません。どうやって飛ぶかもわからない、その手段さえ明確ではないうちから、物語は自ら「飛びたい、飛びたい」とさえずり続けていたのです。まるで本編に登場する、誰かさんみたいに。」


 このような経緯で書かれた物語が、楽しくないわけがありません。キャラクターが元気で、魅力的で、とにかく楽しい小説です。
 舞台は、謎の部活動、飛行クラブ。主人公は、女子中学生のくーちゃん。明るく活発で世話好き。自分では世渡り上手なつもりなのに、どんどん地雷を踏んでいきながら、道を切り開いていきます。
 幼馴染の樹絵里、不思議少女のるなるな、いじわる少女のイライザ(キャンディキャンディ)、影の薄い餅田くん、変人の斉藤部長、野球部とかけもちの中村先輩と、脇を固めるキャラクターも、実に多彩です。くーちゃんのお母さんも楽しい人です。
 カバーのイラストも実に魅力的。内容の爽やかさ、すがすがしさを、よく表しています。カバーイラストを見て気に入った人は、是非読んでみてください。


少年少女飛行倶楽部

少年少女飛行倶楽部