薄い日記漫画と、濃い日記漫画

 同じ発売日、2008年7月25日に、2冊の日記漫画が出版されました。1冊はゆうきまさみ先生の『もっとはてしない物語』、もう1冊は寺島令子先生の『墜落日誌 社会科見学編』です。
 しかし、この2冊、実に対照的です。
 『もっとはてしない物語』は、アニメ雑誌ニュータイプに連載されていた12年分の日記なのですが、実に密度が薄い。12年分を通して読んでも、全く胃もたれしません。
 それに対して、『墜落日誌 社会科見学編』は、コンピュータ雑誌ログインに連載されていた6年分の日記なのですが、これでもかと密度が濃い。熟読していると、疲れきってしまいます。

薄い日記漫画−『ゆうきまさみのもっとはてしない物語

 大勢のアシスタントを使い、週刊漫画誌での連載をバリバリこなす、ゆうきまさみ先生が、肩の力を抜いて、主にオフタイムについて綴った日記漫画。月1ページの連載ですが、コマ数は少なく、イラスト1枚だけで1回という回もあります。
 話題は広く浅く、読みやすいです。ただし、凝った造本で、オールカラーとはいえ、152ページで1500円と高いため、コアなファン向けのコレクターズアイテムといったところです。


濃い日記漫画−『墜落日誌 社会科見学編』

 4コマ漫画を中心に活動している寺島令子先生が、コンピュータゲーム誌、ログインで月2ページの連載をしていた日記漫画。雑誌版ログインの休刊、オンライン化に伴って、現在は休止中なのかな。
 寺島令子先生にとっては、6年ぶりの単行本。ぜひとも売れて欲しいです。また、竹書房さんにも、自社の寺島先生のレポート漫画(傑作が多いです)を、単行本化してもらいたいと願っています。


 墜落日誌が15回+墜落日誌2が56回。墜落日誌では、オンラインゲームの話がメイン。墜落日誌2では、1回2ページの掲載分で、ゲーム話、コンピュータ話、オタク話が半分と、博物館などの社会科見学ネタが半分という、常軌を逸した詰め込み漫画となっています。なにしろ、5段組みですから。コマ数もネームの密度も、半端じゃありません。
 コンピュータゲームを知らない人でも楽しく読めます。特に、墜落日誌2は、博物館見学の部分が興味深く、広い読者層を楽しませることの出来る漫画となっています。
 個人的には、ガイナックスの仮装忘年会の話が印象深かったです。まだ続いていたんだ。


 初めて、墜落日誌を読む人にアドバイスします。初読で熟読をすることは、あまりお勧めしません。
 最初は流し読みをして、大体の流れを把握します。そして、2度ほど流し読みをして、ある程度、全体の話の流れを把握した状態で、今度は熟読していきます。そうすると、話の流れが分かっているので、読む上での負荷が軽減されて、十分に内容に没頭できるようになります。


 個人的に、墜落日誌は思い出深いシリーズです。社会科見学編は、5巻にあたるのですが、4巻にあたるネットゲーム編は、私が初めて買った寺島令子先生の単行本でした。
 そこで、寺島漫画にハマってしまい、それから、新刊書店、古書店を回って、寺島先生の全単行本(社会科見学編を含めないと25冊)をコンプリートしてしまいました。中野のまんだらけには、半年通いました。
 それらを読んだ感想ですが、寺島先生の単行本のなかでも、『うどんランド』は、4コマ漫画史に残る傑作だと思っています。のんきな主婦漫画で、ご近所と友達付き合いをしています。何回読んでも楽しめるスルメ漫画。全6巻(1〜5+完結編)。興味のある方は探してみてください。


墜落日誌 社会科見学編 (BEAM COMIX)

墜落日誌 社会科見学編 (BEAM COMIX)