ビッグコミックオリジナル2016年4月20日号

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『まどいのよそじ』 小坂俊史

特別編11 お笑い
 単行本の1話目『アイドル』の続編となります。
 鶴田さんのモノローグがあって、鶴田さん一人称の、鶴田さんが主役の漫画なはずなのに、実質的に作品をコントロールしているのは、完全に亀澤さん。
 鶴田さんの能天気なモノローグの裏で、亀澤さんの苦悩と画策が働くという、表層と深層の不思議な二重構造で、物語が構成されています。短編漫画のテクニックとしては、かなりユニークなのではないでしょうか。
 水面に浮かぶ鶴を、下から亀が持ち上げるかたち。鶴は役立たずですが、亀も鶴なくしては、何もできないわけです。喫茶店の名前が「福寿」なのも「鶴亀」だからですね。
 ダークスーツの亀澤さんは、どこか猛獣使いのよう。たしかに、40歳の「天然の生きもの」は、猛獣に似ているのかもしれません。