ビッグコミックオリジナル2014年9月増刊号

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『まどいのよそじ』 小坂俊史

第5回 まる文字
 80年代が、丸文字流行のピークだったように思いますので、40歳(1974年生まれ)は、丸文字後期の世代。かつ、1996年には、すでに会社の書類は一太郎ベースだったような気もするので、「丸文字のコンピュータ課長」というキャラクターは、もっと年上でも成立したはずです。しかし、中学生の延長のような恋愛とゴールインを描くうえでは、やはり少しでも若いほうが、チャーミングさが増しますね。
 それにしても、子供のころ、あれほど溢れていた丸文字も、すっかり見なくなりました。今では、なかなか正確な字の形を思い出せないほどです。丸文字風のフォントはありますが、当時のテイストを十分に伝えているとは言い難い感じです。当時、同級生の女の子の書く文字、という補正が加わってキラキラした印象でした。「知っている人が書く文字」というのが大事だったのかも。
 40歳のオジサンと、40歳のオバサンを、萌え萌えに描けちゃう小坂先生の恐ろしさ。橋本さんはもちろんかわいいけど、河野くんもかわいいよなあ。
 半袖の時期からの1年後なので、夏でもよさそうなのに、最後をコタツの出ているシーズンにしたのは、婚姻届を書くシチュエーションとして、コタツに向かい合ってというのが、いちばん幸せそうだからでしょう。