新潟ラーメン紀行
2014年7月19日、20日に新潟にラーメンを食べに行きました。
新潟には5大ラーメンと呼ばれる地ラーメンがあります。長岡生姜醤油ラーメン、燕三条背油ラーメン、三条カレーラーメン、新潟あっさり醤油ラーメン、新潟濃厚味噌ラーメン(割りスープ付き)の5つ。今回は三条カレーラーメン以外の4種類を食べてきました。
まずは長岡で新幹線を下車して、おやつを購入。Parisパイのミルフィーユ。
丸いパイにその場でクリームをサンドして、ハンバーガーのようにかぶりつくスタイル。パイもクリームも本格的なのに、カジュアルで食べやすい設計。濃厚なクリームを、驚くほど爽やかに変えるフランボワーズがおすすめです。
食べログ記事はこちら。
1店目で目指すのは、長岡から1駅の宮内駅前にある青島食堂宮内駅前店。長岡生姜醤油ラーメンのお店です。
駅前の風景はこんな。かつては栄えていたことを示す大通りが伸びて、古くからの旅館などがあります。
チャーシューメンにホウレンソウトッピングで。スープは醤油がしっかり効いていますが、ダシの旨みも存分に感じられます。生姜醤油ラーメンとされていますが、生姜は食べ終えた後にわずかに香る感じです。
見た目は昔ながらの東京ラーメンのようですが、記憶の中の昔ながらの東京ラーメンよりも、遙かにうまいというあなどれない1杯です。
タレ、ダシ、麺、チャーシューのすべてが武器。麺は多加水ですっきりと。チャーシューは薄切りながら、肉々しさと脂の旨みが楽しめる現代的な味です。地ラーメンでは、チャーシューがイマイチな場合が多いのですが、青島ラーメンのチャーシューは強力な武器となっていました。
青島食堂は、東京の秋葉原にも支店があるのですが、東京の醤油ラーメンでは屈指の繁盛店となっています。現在の東京のラーメンシーンにおいても十分に勝負できるレシピを確立しているのです。
メニューは醤油ラーメン1本で、トッピングの増量があるのみと、非常にシンプルなもの。
作り方もシンプルで、たれと油を入れた丼にスープを注いで、平ざるであげた麺を泳がせ、トッピングをするという昔ながらのオペレーション。
今どきのラーメンのように、スープを小鍋で沸かしたり、追い鰹をしたり、チャーシューを七輪で炙ったりといった複雑な手順とは無縁ですが、単純な手順でおいしく作れるのは、各パーツについての研究が、相当にされている証拠でしょう。
- ジャンル:ラーメン
- 住所: 長岡市宮内3-5-3
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- (写真提供:てんた♪)
2軒目は杭州飯店。燕三条背油ラーメンのお店です。
最寄駅は、燕三条駅から2駅の西燕。新幹線が止まる駅から2駅なのに無人駅。Suicaが使えるので便利でした。無人駅とSuicaの相性はなかなかのものですが、都会なのか田舎なのかわからなくなります。
杭州飯店はこちら。
杭州飯店は、戦前からルーツがある店で、この店の先代が工夫をして、濃い醤油味、大量の背油、極太平打ち麺の燕三条背油ラーメンを確立したそうです。
戦前の燕市は、洋食器生産が盛んで景気が良く、工場労働者の食事として、ラーメンの需要が高かったそうです。洋食器製造は暑い環境で作業をするので、そこで働く人向けに塩味を強くしたかったのですが、そのまま醤油味を強くしてもおいしくない。そこで塩辛さを和らげるために、背油を加えるスタイルとなりました。
出前が多かったことから、伸びない工夫として、腹持ちもよい極太麺を使うことになったとのこと。
まずはサイドメニューの餃子。
非常に大振りで、揚げ焼きにした香ばしさが際立っています。過度に日本化されていない中国料理のエッセンスを感じます。
スープが透明なように見えますが、これは上に浮いている背油で、中のスープは濃い黒色です。
麺が非常に独特でした。極太の平打ち麺なのですが、現在流行している豚骨魚介つけ麺の極太麺とは、全く系譜の異なるものです。
麺は、厚めの水餃子の皮をスライスしたような、点心を食べているような食感のものでした。ラーメンとは別の中国料理を食べているような感覚があり、実に独特の食べごたえがありました。
前述のとおり燕三条背油ラーメンの歴史は長いのですが、過去の日本においては、極太の中華麺というのは、メジャーなものではありませんでした。杭州飯店は、現在太麺の主流である大勝軒、二郎、家系、六厘舎などが成立するはるか以前に、独自の極太麺を、オリジナルで開発したことになります。
- ジャンル:ラーメン
- 住所: 燕市燕49-4
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- (写真提供:タム6000)
新潟に宿泊し、翌日は市内の店を巡ります。朝食はバスセンターのカレー。
3軒めは、新潟あっさり醤油ラーメンの三吉屋駅南けやき通り店。
新潟あっさり醤油ラーメンは、市内の屋台がルーツ。火力が弱い屋台に対応するため、麺は極細麺に、スープは乾物主体となったようです。
醤油の色が薄めで、美しいラーメンです。関東の淡麗系ラーメンに近いルックスと味でした。乾物を効果的に使ったスープも、現代の流行のひとつを先取りしていた感じ。
あっさりしたスープに細麺の組み合わせの場合、トッピングの香味野菜の役割が非常に重要となるのですが、ここのラーメンでも、極薄の白ネギが、でしゃばりすぎずに、味と食感のアクセントとして、実に効果的に機能していました。
屋台系のラーメンが路面店に定着する場合、よりジャンクになるルートと、より上品になるルートがあると思いますが、この店の場合には後者で、味も店の雰囲気も上品で洗練されていました。
食べログ記事はこちら。
4軒目は、東横駅南店。新潟濃厚味噌ラーメンが代表メニューの店です。ただし、メニューはみそラーメンだけでなく、醤油、塩、つけめんと多彩です。みそラーメンには割りスープが別に付いて、スープを自分で好みに薄めて楽しむことが出来ます。
特製みそラーメンには、大判のチャーシューが1枚載るのですが、みそラーメンにはトッピングに肉っけがありません。野菜と麺とスープだけで勝負しています。
スープは赤味噌の風味が強く、野菜との相性はばっちりです。麺はワシワシとした太麺で、なるほど肉が無くても食べごたえがあります。
塩味は強めですが、濃い味が好きな人は、割りスープなしでも十分美味しく食べられます。
- ジャンル:ラーメン
- 住所: 新潟市中央区南笹口1-1-38 コープオリンピア笹口 1F
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- (写真提供:乱立グルメ)
どの店も駅から近いので、車を使わなくても十分に食べ歩きが出来ます。
こういう機会がないと下りなかったであろう駅や、行かなかったであろう区画に足を向けることが出来たので、普通の旅行とはまた違った楽しみ方ができました。