れんげヌードルライフ

 小坂俊史の4コマ漫画単行本。
 かつてビッグコミック増刊号に連載されていた作品が、待望の単行本化です。この作品のためだけにビッグコミック増刊を買い、スクラップしていた日々が懐かしい。年5回刊だから、発売日がイレギュラーで困った記憶があります。
 ラーメン屋「れんげ亭」を営む父と中学1年生の娘。自称こだわり職人の親父と、看板娘として働く素直なれんげ。ラスト前の固定キャラは、担任の土門先生から、れんげ亭マニアの成戸くんに。微妙な関係の中学生男女ということもあり、れんげと成戸くんに、『エスパー魔美』の魔美と高畑くんを思い出す人も多いでしょう。
 親がアレでも子供はまっすぐ育つ系として、『とびだせ漂流家族』や『おかん』に近いテイストもあります。1名まっすぐに育たなかった娘さんがおりますが。
 連載されていた時期は、2004年〜2009年。これに今年描かれた2本を追加して、単行本に。連載時期は、麺屋武蔵や青葉、中村屋などがメジャーとなったラーメンブームのまっただなかでしたが、そのころのブームには背を向けて、鶏がらのあっさり醤油をメインに、塩、味噌も備えたラインナップに餃子という、オールドスタイルなラーメン屋が舞台となっています。いわゆるテーブルが赤いタイプ。ただしオリジナルラーメン多数。
 こういう、なんちゅーことのないラーメン屋も少なくなりました。豚骨魚介つけ麺と二郎リスペクト系が全盛の現在では、さらに。時々無性に食いたくなるんですけどね。
 個人的に好きな作品は、読者も不安になる「辞書引け」、ハートを鷲掴み「命名秘話」、児童虐待「校内の笑いもの」、小坂漫画史上最もあざとい絵「大漁です」、驚きのアプローチ「アイスもできますよ」、バイオレンス親子「価格破壊」、店を開けるな「いつわりの健康主義」、いい話じゃなかった「宵の口の争い」、社員研修でもある「2泊3日でたくましく」、パパパパパインを先取りしていた「みつ豆はやめておけ」、甘酸っぱいような、そうでないような「スパルタ部活動」、ウエイトレス付き屋台「親子ツーリング」、セールスポイントの欠如「思い知る娘の力」、店主も利用「ダメ大人タイム」、名を取るか実を取るか「有言実行」、1杯に1票の疑似AKB方式「不本意に大人気」、大団円「元V5戦士」などです。