今月のまんがライフオリジナル

まんがライフオリジナル2013年3月号の感想


http://4koma.takeshobo.co.jp/cat04/4476/


おうちがいちばん』 秋月りす
 「両成敗」 前にも米を混ぜるネタがありましたが、季節ネタにすることで再活用したかたち。


リコーダーとランドセル』 東屋めめ
 古雑誌とは言えライフオリジナルをゴミあつかい。まあ他社の雑誌をゴミ扱いするより角は立たないか。


『よっけ家族』 宇仁田ゆみ
 駿太郎さんが和むコマで、こちらも和む。


『ゆにいる』 渡邉
 ストレスがたまると落とし穴を作る習性は、成長しても変わらず。されど、「悟志順路」という看板を付けるあたりは成長の証か。


『野村24時』 板倉梓
 財布を拾ったことがあるのですが、交番での手続きがなかなかに面倒くさい。時間がかかりそうなので「名を告げずに立ち去った」ことにして帰らせてもらいました。現金は2,000円くらいしか入ってなかったし。
 「ですよね」 慣れない欲を出して疲れただけだった。
 「1日の終わり」 慣れない欲を出して疲れただけだった。何欲?


『総理大臣の息子さん』 株本慎之介
 「協力 自衛隊」 隕石爆発とタイミングのあった衝撃波ネタ。


『またたび』 小道迷子
 猫を主人公にした意味が分からない。猫の住む猫の谷根千をレポートしたわけじゃなくて、人間の住む人間の谷根千を、猫がレポートしているんですよねえ。それで、猫が買い食いしているってことは、人間の店員と猫が会話しているわけですよねえ。人間と猫が会話できる舞台設定で、現実の街をレポートするという企画の意図が、この話だけでは理解できず。少なくとも街の魅力を伝える意味では、設定が機能していない気がします。いまさら谷根千のような王道スポットでレポート漫画を描くには、変化球の設定がないと…ということなのかもしれませんが。
 買い食いレポートで、猫が食い散らかす絵面が汚いのも、個人的にはマイナスポイント。


『星降り村事件ファイル』 碓井尻尾
 タイトルバック:中二病アイテム「眼帯」を常時装備させられているアカネさん(メイド喫茶マンドリル)が不憫に思えてくるイラスト。
 「変化」 コーヒー→アオイ→危険。アルコール→星川さん→危険。
 「痛恨の一撃」 痺れを切らした耕作が、自分でお茶を淹れたの図。


けんもほろろ』 ハトポポコ
 「ほにゅー」 「ほにゅーるい」もかわいいが、「はちゅーるい」もかわいい。赤ん坊言葉っぽいのかな。「ほにゅーるい」「はちゅーるい」。


『よんこまのこ』 重野なおき
 「結構使った」 塩は融雪剤なので、かけるとかえって雪は解けやすくなります。凝固点降下といって、より低い温度で水になるためです。
 手作りアイスクリームを冷やすのに、氷に塩をいれるのは、塩で氷の温度が低くなるわけではありません。冷凍庫の氷はマイナス10℃程度。マイナスの温度の氷を温めると、だんだん温度が上がっていって、0℃前後で温度が変わりにくくなります。これは氷が水になるために、温度が0℃の状態のままで、多量の熱が必要なためです。氷に塩を入れると、マイナスの温度で氷が水に変わります。この状態のときは、温度が変わりにくいので、他のものを冷やすのに適しているのです。塩を入れると、マイナスの温度で氷が溶けるため、アイスクリームが冷やせるのです。


『モノローグジェネレーション』 小坂俊史
 最終回。
 「中学生ひとみ(15)の誕生日」 緩急自在。ハートウォーミングな展開からシビアなオチに落として、笑いをよぶこともできれば、シビアな展開からハートウォーミングなオチに落として、今回のように余韻を生むこともできる。わずか4コマの中で、スピード感が自在に変化できる感じ。
 「ストリートミュージシャン・ニコ(26)の誕生日」 3コマ目の飛躍が夢に終わった後に、でもその飛躍の幻のぶんだけ、一歩の成長があるのだという実感が残ります。夢のようではないけれど、希望は消えてはいないというエンディング。甘みと辛みのバランスが見事。
 「OLみのり(32)の誕生日」 ずーっと「モノローグ」を続けていた孤独なみのりさんの、最後の1コマだけが「会話」だというのがジンときます。
 「大学生一穂(20)の誕生日」 母一人子一人で、子離れをしていく親の気持ちを、直接的ではなく浮かび上がらせるテクニック。
 「女社長しのぶ(45)の誕生日」 最終回にして、社員全員登場か。みなさんご苦労様です。
 「イラストレイターなのか(34)の誕生日」 『中央モノローグ線』、『遠野モノがたり』、『モノローグジェネレーション』と3作品5年間にわたってつきあってきたなのかさんともお別れ。なのかさんの5年間に立ち会えて幸せでした。なのかさんの5年間が実り多いものでありましたように。
 「年金生活者ナナ(74)の誕生日」 ネットを使っていたら、打ち間違えたパスワードに変更していくタイプなのでしょうか。
 「小学校教師イツ子(60)の誕生日」 走馬灯のようにすべてがつながる最終回。小学校教師というのはジェネレーションをつなぐ「去年今年貫く棒の如きもの」だったのですね。万感が迫るこのような「奇跡のような瞬間」に出会うために、僕たちは漫画を読んでいるのかもしれません。登場人物が4月にいっせいに歳をとるのも、ちょうど単行本1冊分になる連載終了が3月号なのも、すべて連載開始時からの周到な計算だったのですね。7コマ目の残像が8コマ目に重なるとき、世界は祝福に包まれるのです。