Windows8に関する個人的な懸念

はじめに

 パソコンが古くなったので、買い替えを検討しているのですが、そのなかで、来月発売されるWindows8についても、ちょっと調べてみました。しかし、Windows8には、かなり問題が多そうです。タッチパネル向けに設計されているので、マウスでは使いにくいということは知っていましたが、その他にも重大だと思える問題点があります。
 実際にWindows8を触ったわけではないので憶測の域を出ませんが、Windows8の抱える問題点について、まとめてみたいと思います。
 Vistaユーザーなので、出来の悪いOSには耐性があると思っていましたが、Windows8は予想以上でした。

思わぬところから個人情報の漏えいが生じるリスクへの不安がある

 Windows 8を立ち上げるためには、ログインが必須です。そして、そのログインには、Microsoftアカウントを使うことが推奨されています。Microsoftアカウントを使わなくてもログインはできますが、そのままではStoreが使えないなど、Metro(正式名称ではなくなりましたが)というメニューの機能に大幅な制限が生じます。
 ところが、このMicrosoftアカウントが曲者です。ためしにアカウントを作ってみましたが、現在のところ、Microsoftアカウントの作成のためには、「姓」「名」「性別」「生年月日」「メールアドレス」「パスワード」「携帯電話のメールアドレスまたは電話番号(必須ではない)」「郵便番号」の個人情報入力が必要なのです。
 ただOSを動かしたいだけなのに、なんのためにここまで個人情報をオープンにする必要があるのでしょうか。こんな項目が万が一漏洩したら、ユーザーは丸裸です。
 このアカウントがStoreのアカウントを兼ねているため、ある程度の身元確認は必要なのでしょうが、やりすぎです。はっきり申し上げて、多くのユーザーが、ここまでの個人情報を抵抗なく晒せるほど、マイクロソフトという会社は信用されていないと思います。
 別に「姓」「名」にダミーを入力しても構わないわけですが、パソコンの教科書に「OSを安全に使うためには、まずダミーの姓名を準備しましょう」とか書くのは変でしょう。
 このアカウントは、自動的にユーザーフォルダの名称に使われてしまうほか、Metro画面においても常時表示されます。
 また、Microsoftアカウントは、FacebookTwitterのアカウントを兼ねることもできるようです。Metro画面には、TwitterのTLなどをリアルタイム表示させることも可能です。しかし、こうしたSNS連携は、知識のない者が使った場合において、ユーザーの実名など個人情報を拡散させる危険性があるのではないでしょうか。Microsoftアカウントで登録した情報が、各種のSNSなどで、どれだけ「表に出る」ようになっているのか、初心者には把握できないと思います。
 Windows8の基本理念は「実名で多彩なSNSとつながれ」というものです。確かにそれにはメリットがあります。しかし、リスクも大きいです。Facebookが流行している国では抵抗がないのでしょうが、昔から、日本人は、ネット上では実名と仮名を使い分けてきました。基本ラインが実名ベースのWindows8は、匿名ベースの日本のパソコン文化にそぐわないと思います。Windows8の日本語版をすこしカスタムすれば、なるべく実名が表に出ないシステムを作るのは容易だと思いますが、現状では、それをする兆候は見られず、世界標準を押し付けられそうです。

マイクロソフトのサービスへの囲い込みが露骨すぎる。

 パソコンのOSというのは、個人が好きな方向へ進んでいける空地のような場所であるべきだと思っています。
 しかし、Windows8では、マイクロソフトのサービス、Bingのサービスに、非常に強引にレールが敷いてあります。
 新メニューのMetroに表示されるのは、ほとんどがマイクロソフトのサービスです。特別な設定をしないかぎり、ユーザーは、マイクロソフトでビデオを買い、マイクロソフトのニュースと天気予報を見て、マイクロソフトの地図を調べることを強要されます。これは、いままでの自由なWindowsの文化を踏みにじるものです。
 もちろん、いちいちレールをはがして、カスタマイズすることは可能ですが、カスタマイズが終わった後のMetro画面には、もはやその存在の必要性は残っていないでしょう。
 Metro専用のアプリも、マイクロソフトのStoreでしかダウンロードできないそうです。Microsoftアカウントを使って、マイクロソフトのStoreで買ったものだけが、正規のWindows8のMetroアプリになるのです。
 マイクロソフトと深くつながりたい人には最適ですが、大多数のユーザーは、OSとOffice以外では、マイクロソフトと深くつきあう義理などありません。OSは黒子に徹していただきたい。マイクロソフトのサービスのプレゼンテーションなど、していただかなくて結構です。

おわりに

 Windows8からは、マイクロソフトの主張が声高に聞こえてきます。
  「これからのユーザーは、実名で多彩なSNSとつながれ」
  「これからは、マイクロソフトが提供する地図や天気やニュースのサービスを使え」
  「Metroアプリは、必ずマイクロソフトStoreで買え」
  「これからは、ゲームもビデオもマイクロソフト経由で買え」等々
 マイクロソフトがアップルになりたいという情熱は理解出来ますが、余計なお世話です。単なるOSにメーカーの主義主張、商売の都合を、いちいち押し付けないでいただきたい。
 Windows8のMetroメニューは、OSのメニューというよりも、ほとんどマイクロソフトポータルサイトになっています。多くのユーザーにとって、そんなものは不要です。不要なものを購入する必要は、全くありません。