今月のエレガンスイブ

エレガンスイブ2012年10月号より、『怖いのは苦手です。』の感想


『怖いのは苦手です。 #3』 小坂俊史
 『お風呂のアレ』を描いていた山野りんりん先生が読むと「ギャア」と言いそうな物語とオチ。
 日常のちょっとしたこだわりやわだかまりが、目的化していく歪み。日々抜けていく髪の毛は愛おしいのに、排水溝の髪の毛はなぜもああ禍々しいのか。
 柱で小坂俊史先生が「3話とも私の実話です。10%くらい。」と書かれていますが、例えば、風呂場の電燈が切れても替えなかった、とか、2年間分のトイレットペーパーの芯をトイレに放置していた、とかも、日常のなかの歪みですよね。ちょっとしたきっかけで恐怖に変わりそうな。
 殺されるために登場した彼氏の、ちょっと暴走気味の恋心が哀れ。シャワーヘッドで撲殺されたか。風呂場にあるアイテムで撲殺するのは、基本難しいですが。
 主人公の描かれない最終ページが、想像力をかきたてます。
 全3回これにて終了。お疲れ様でした。個人的には漫画史に残る連作だと思っていますので、ぜひアンソロジーというかたちで単行本化を。