今月のまんがライフオリジナル

まんがライフオリジナル2011年5月号の感想


 考えてみると、この雑誌、ショートストーリーに、深谷かほる陸奥A子、オノ・ナツメ桜沢エリカ犬上すくね柘植文がいるって、ちょっと信じられないほどの豪華メンバーですね。
 また、雑誌の終盤を、施川ユウキカラスヤサトシ小坂俊史非モテ系?独身男子漫画家三羽ガラスで締めているのも、なかなか他誌ではできないことです。


おうちがいちばん』 秋月りす
 「苦しめたい」 仲が悪いからこそ、相手がもらってうれしくないものは、プライドにかけても贈れない。みなぎる緊張感。
 「ソースの引力」 「親心グリーン」でもらったキャベツが伏線に。


『しょっぴんブギ』 佐藤両々
 新井式抽選機は↓。



 吉村式ポン菓子機は↓。 いずれもスタンダード。



 「実用性」 裸甲冑、痛そう。
 「お祝いしよう」 このところずっと悦二くんのターンだったので、ひさしぶりに針井くんのターン。馬場ちゃんモテモテ。
 「きっと喜ぶ」「母の日は」 馬場ちゃん天然、魔性の女。男心はコロコロ転がります。


『店長の憂鬱』 碓井尻尾
 「プラマイゼロに」 前々回は全く役に立たなかった妹さんですが、前回はずいぶん役に立った様子。姉の被害を打ち消すほどに。ようは慣れの問題だったようですね。
 「アオヤギ君とヒイラギさん」 店長も言いたいことを言えばいいのに、言えないところが店長としての責任感の強さなのでしょう。
 「眼光」 読者も誰だかわからない?のに、何度か会っただけの社長を見抜きそうなサヨリさんの鋭さよ。
 「言ったね」 「出番なしかよ」とつぶやくカニが面白い。


『よこしまゼミナール』 松田円
 「シビアなローティーン」「小学3年生」 小学3年生はローティーンではないですね。
 「二人でごはん」 3本前の「サバ大好き」がここまで尾を引くとは。横田も人が悪い。


『兄がライバル!』 朧月 かさまひろゆき
 私立蒲鉾高校というネーミングが新鮮ですが、百合薔薇学院との対比で、さえないものの代表として命名したんですね。
 この内容だと、姉が男である必然性が薄いような。ふつうの姉妹モノでもさしつかえないネタのように思います。


『ねこまねき』 桜沢エリカ
 結局、「竹書房から桜沢エリカ名義の単行本を出すこと」だけが目的のような連載でしたね。


『ゆにいる』 渡邉
 「春の雨」 すばらしいスピード感。


『野村24時』 板倉梓
 柱、『あかつきの教室』は初単行本ではないです! 『少女カフェ』が出てますよ。
 野村、田中、斉藤、鶴岡、原、と野球尽し。野村と田中は、『そこぬけRPG』でいう19×18(4巻22ページ)だったんですね。
 鶴岡先生の趣味は詩吟。詩吟が趣味というと、北村薫『空飛ぶ馬』シリーズの正ちゃんを思い出します。天津木村ではなく。


空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)


『ういういdays』 犬上すくね
 うわ萌える。


『大カラスヤサトシの大発明大王』 カラスヤサトシ
 スクリューキャップの缶でも水筒でも、蓋ができる容器に移せば、簡単に済む話なのに、えんえんと回り道。もちろん回り道自体を楽しむ漫画なのですが、ちょっとイラつくことも。


『遠野モノがたり』 小坂俊史
 最終回。東北の震災にはあえてふれず。さすがにラスト1回に震災をからめては、中途半端になりますからね。現在進行中の事象で、簡単にまとめられるような出来事ではないですし。
 なのかは中野に戻っており、時間軸は未来。必然的にフィクションになります。
 「中野にて」 やっぱりなのかの戻る街は中野でした。小坂先生の戻る街はどこだろう。
 「積りゆく人生」 その下にあるものは変わらなくても、上に積むものを変えていくことは、人生において決して無意味ではないと思います。誰にとっても。
 「タチの悪いにわか」 東京には、本当の雪国のプロが、けっこう大勢いますからね。
 「東京の物の怪」 人口3万人の街では、マイナーなコミュニティは成立しにくいですからね。在宅ワーカーもそんなにいないだろうし。
 「遠野の物の怪」 すげえ。4コマ1本でラブストーリーを描ききった。なんたる剛腕。
 「東京の自由」 なのかは自動車を手放したけど、さて小坂先生の愛車の運命はいかに。2コマ目にみどりちゃんが出ているのが、構成上すごく効いています。
 「遠野の自由」 みどりちゃん就職。4コマ目は「まるまつ」か。ドリンクバーに気負う等身大の人生が、なんだか羨ましいです。
 「東京の部屋から」 つながったもの。
 「遠野の部屋から」 つながらなかったもの。でもつながっているもの。ありがとう。さようなら。座敷童子ちゃん。
 「三つ目のふるさと」 2コマ目〜4コマ目の時の流れ、6コマ目の広い空、上質な映画を観ているようです。遠野モノがたりこれにて完結。フィクションとノンフィクションの間をたゆたい、私小説とエッセイの間をたゆたって、読者の心にも「ふるさと遠野」のリアルなイメージが鮮やかに刻まれました。
 単行本は5月27日発売。


遠野モノがたり (バンブーコミックス)

遠野モノがたり (バンブーコミックス)


『うちの3ねこ』 松本ぷりっつ
 「うちの3ねこ」 「おちゃのこさいさい」「どんくさい」「めんどくさい」は、3ねこの個性を見事に表現していますね。