涼宮ハルヒの消失
原作もテレビアニメも見ていない、予備知識ゼロの状態で見ました。
一言で言うと「ビューティフルドリーマー+ドラえもん−センスオブワンダー」かな。基本のストーリーラインは、ビューティフルドリーマー的なので、入り込みやすく、面白かったです。
ただし、異能者が多すぎることもあり、なんというかジョーカーの多すぎるトランプのようで、緻密な面白みには欠けたかな。
主人公が必要以上に饒舌なのも、ちょっとイライラしました。ミステリーやSF系の物語の主人公は、観客の半歩先ぐらいの思考をしてくれると心地よいのですが、キョンの場合、観客の半歩後ろの思考で、ぐずぐずと話しているので、じれったかったです。
モノローグを大幅に削れば、映画の尺もずっと短くできたし、そのほうが映画の完成度としては高まったような気もしますが、ここは原作を尊重したということのようですね。
キャラクターの魅力については、この映画は番外編なので、判断できず。
周囲に振り回されているように見えるキョンが、実は特権的な主人公である、というのは、ラノベ的なのかもしれませんね。いや、ラノベについては、全然詳しくないですが。
読んだことのあるラノベが、米澤穂信と桜庭一樹だけでは、ラノベの世界観は語れませんよね。
(以降はネタバレ)パラレルワールドではなく、世界の改変だ、というのも、SF的にあまりスマートでなかったように思います。不連続点があって、世界が改変されたのに、運命を変えられた人間には連続した過去の記憶がある、というのが後だしジャンケン的です。聖書を絶対視するキリスト教徒が、神は化石を埋めた状態で天地を創造した、と言っているようなトンチンカンさを感じます。