元気でいてよ、R2-D2

　北村薫の短編集。全8作。
　ミステリーではないですが、終盤にひやりとした恐怖や驚きが仕込まれた作品群です。
　多くの作品では、まず女性の日常生活が情感豊かに描かれます。それが終盤に至ると、やおら緊迫感が高まって、物語の最後でスパンと切り落とされ、日常に潜む断面が、鮮やかに大気に晒されます。よくできた落語にも似た、終盤のキレの良さを感じました。
　各短編には、謡口早苗による美しい口絵が添えられており、作品の内容と響き合って、印象深いです。

元気でいてよ、R2-D2。