ゴールデンスランバー

　伊坂幸太郎の長編ミステリ。首相爆殺さる！　巨大な陰謀により、なぜか首相暗殺犯の濡れ衣を着せられた主人公、青柳雅春が、殺害も辞さずと理不尽な捜査を続ける警察組織から、必死に逃げて逃げて逃げまくる話。仙台が舞台です。
　ケネディ暗殺犯に仕立てられ殺されたオズワルドのエピソードを下敷きにしているようですが、青柳には、オズワルドと違って、表になり裏になり、自分の出来る範囲で、逃亡を助けてくれる友人知人がいました！　だから、簡単にはつかまりません。人間と人間とのきずなが、危ういところで青柳を救っていきます。
　もちろん、逃亡を可能にしているのは、青柳自身の必死のあがき、必殺技（大外刈り）と知恵と勇気によるところも大きいのですが。
　スリリングな青柳の逃亡をリアルタイムで描写しながら、ときどき主人公の大学時代などがカットバックされます。緩急の使い方が上手く、魅力的なキャラクターも多くて、ぐいぐいと読ませられます。傑作です。

ゴールデンスランバー