消失！

　中西智明の長編ミステリ。
　1990年の作品ですが、講談社ノベルズ25周年復刊で、昨年復刊されたもの。早すぎた傑作として、一部で伝説となっていた作品です。
　この作者の存在は『法月綸太郎の本格ミステリ・アンソロジー』所収の短篇『ひとりじゃ死ねない』で知りました。『ひとりじゃ死ねない』はテクニカルな傑作でしたが、『消失！』もまた、非常にテクニカルな作品です。
　大掛かりなトリックが仕掛けられているので、読んでいて不自然に思う点も多いのですが、（ネタバレ：裕子は、裕二に行動の自由を与えすぎだとか）、よくできた手品を見るようでした。サプライズの効いた人工的なミステリです。

法月綸太郎の本格ミステリ・アンソロジー (角川文庫)

消失! 綾辻・有栖川復刊セレクション (講談社ノベルス)