まんがライフSTORIA Vol.10

まんがライフSTORIA Vol.10の感想

ラーメン大好き小泉さん』 鳴見なる

18杯目 楽食拉麺
 さすがに、「菊や」は敷居が高い。

ラーメン大好き小泉さん』 鳴見なる

19杯目 名古屋
 名古屋からの電話を、コメダ珈琲シロノワールを食べながら受けるというマニアックな仕掛け。
 シロノワールって、白なのか黒なのか分からない名前だなあ、と思っていたのですが、調べてみたら、ソフトクリームの白(シロ)と、デニッシュの黒(ノワール)が命名の由来でした。デニッシュって黒か?
 ラーメンフォークは「スガキヤ」、台湾ラーメン発祥は「味仙」、チェーン店は「藤一番」、ベトコンラーメンは「新京」、北極は「蒙古タンメン中本」、辛辛魚は「井の庄」。

ラクロス少女片岡理鈴さんはとてもモテる』 大和田秀樹

 同一展開、同一オチの漫画は、ページ数が少なければアリでしょうが、8ページ使ってやるのはつまらないし、誌面の無駄です。そもそも、基本パターン自体が面白くないわけですし。

『これでおわりです。』 小坂俊史

最後の一曲
 小坂俊史先生の漫画には、意外なほどにミュージシャンのキャラクターが多いです。
 『サイダースファンクラブ』があり、『モノローグジェネレーション』のニコ、『オフィスのざしきわらし』の南さんがいて、『ハルコビヨリ』のハルコとやっさんはバンドを組み、『ひがわり娘』では、笹木まみもストリートミュージシャンになりました。『せんせいになれません』の和泉も音楽教師兼任ですね。
 ミュージシャンを漫画に描くことの妙味のひとつは、ひとりのアーティストに、曲を作る、詞を書く、演奏する、歌う、という多様な役割があることかもしれません。また、音楽自体は漫画には描けないけれど、キャラクターを描きこんでいくと、どんな音楽を演奏しているかが、なんとなく想像できるようになる、というのも面白いところだと思います。
 本作で、「新宮」という主人公の名前は、たぶん「sing」の意味。
 プロミュージシャンとして挫折をしても、引きずることなく切り替えて、今度は会社員として、悔いを残さぬよう全力投球していける、というのは、音楽への愛が薄いわけではなくて、どのような道であれ、人生を進むことにためらわないという前向きさによるもの。「夢のなか」を歌わせているのは、歌手への未練よりも、不完全燃焼をした「終わり方」への自戒の念なのかもしれません。
 違う生き方をしてきた彼女の経験は、会社員としてプラスに働いているようにも思います。違うルートでの人生の経験があることで、現在のルートでの人生を相対化し、客観視できるというプラスが。周りが見えない一生懸命よりも、周りが見えている一生懸命のほうが、効率がよくて、安全ですから。
 再びの音楽活動を始めたのも、未練から戻ったのではなくて、客観的かつ冷静な状況判断で、「いける」「可能性がある」と見極めたからなのでしょう。音楽業界に戻るということを、「昔に戻る」という後ろ向きの発想でなく、きちんと前向きの発想でスタートさせているように思いました。
 新しいメロディーメーカーを受け入れる柔軟さがありつつも、思い入れの強い自作の歌をあきらめない、というしたたかさも彼女らしいです。