灰色の手帳



 仁木悦子の少年向け推理小説集。短いものから長いものまで。
 想定する読者が小学生なので、「無実の人がつかまる → 子供が探偵をする → 無実の証拠をつかむ → 犯人(麻薬密売をしている悪漢)に誘拐される → なんとか脱出する → 犯人に追跡される → 警察に助けられる」というのが基本パターン。現在ではあまりこのような小説は書かれないので、かえって今の読者には新鮮な魅力があります。
 このなかでは中編『消えたおじさん』が白眉。二転三転するプロットのジェットコースターミステリで、少年小説全体の中でも、仁木悦子の作品の中でも、高いレベルにあると思います。