江神二郎の洞察
- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/10/30
- メディア: 単行本
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有栖川有栖の連作短編ミステリ。
学生アリスシリーズ初の短編集。デビュー作から書き下ろしまで。
大学ミステリ部ミステリなので、ミステリ論が思う存分戦わされます。ミステリであることに、とりわけ自覚的であるミステリということで、一種のメタミステリ集ではありますが、奇をてらわない謎解き集でもあります。
『瑠璃荘事件』 りら荘みたいなタイトルですが、事件自体は些細な盗難。アリバイ崩し、そして消去法を支える消去法を超えるもの。
『ニ十世紀的誘拐』 フェアな謎が提示される盗難事件。「二十世紀は何の世紀であるか」が謎の鍵。困難は分割せよ。
『蕩尽に関する一考察』 名探偵の条件は「犯罪者の心理を知ること」。そして、それはときにとして犯罪に傾斜した人間を救う道ともなります。