インシテミル

 ほめている人がいない映画化。実際あまりほめるところもないのですが。
 活きのいい魚のような原作小説から、大骨、小骨をすべて取り去って蒸した料理のようです。本格スピリットや、ミステリ読みが喜ぶキモが、すっかり抜け落ちています。大衆受けを狙ったのでしょうが、一般大衆もこれで喜ぶとは思えません。
 なにしろ、映画をすべて見ても、原作小説のネタバレには、一切なっていないのですから、すごいものです。それで、原作小説に真摯に向き合ったことになるのでしょうか。
 一応、ラスト付近の展開は、「そして誰もいなくなった」のパロディになっているのかな。