やまいだれ1巻

 小坂俊史先生の久しぶりの単行本。待ちに待った一冊です。
 あえて、笑いに結びつきにくい「病気」をテーマにして、とことん笑いにこだわった4コマ漫画作品です。まんがくらぶオリジナルで連載中。
 小坂先生単独での単行本は、『サイダースファンクラブ』の2巻以来となりますので、1年以上待ったことになります。『サイダースファンクラブ』は、キャラクターの成長を描いた、さわやかでヘタレな青春4コマの傑作でしたが、『やまいだれ』は、特定の主人公をおかず、ネタの面白さに集中した一冊となっています。
 とはいえ、病原体と会話できる奇跡の医師ヒカルや、町をうろつく野良ナース、いつもなぜか野良ナースの世話になっている外回り君、とんでもない新薬を作るマッドサイエンティスト黒見マコさんなど、魅力的なキャラクターも、数多くいます。
 また、各話6ページの最初と最後が、連作となっているという趣向も凝らされています。
 個人的には、雑誌連載分をすべて網羅した全集を求めていましたが、本作は、全体の2割をカットして再編集した、選集となっています。ただし、この選集の編集には、小坂先生の強い意志とこだわりが込められており、大変な手間がかかっているそうです。
 ファンとしては、小坂先生の思いを尊重したいと思います。
 この作品では、人の生死に関わるネタも避けず、ライトで上品ではありますが、ある程度の下ネタも避けずと、小坂先生の新境地がうかがえます。
 おまけページは、2ページと後書きのみと少ないですが、このおまけページには大笑いさせていただきました。診断は、もちろんヒカル先生タイプです。
 久しぶりに小坂漫画をまとめて読む、至福の時間が味わえました。次は、『ハルコビヨリ』の4巻をお願いします。竹書房さん。
 ちなみに、枸櫞酸は「クエン酸」、埴猪口は「へなちょこ」と読みます。


やまいだれ(1) (バンブー・コミックス)

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