ルピナス探偵団の憂愁
『ルピナス探偵団の当惑』の続編。前作『ルピナス探偵団の当惑』は、ルピナス学園という高校にからむ連作短編で、傍若無人で強烈なキャラクターの主人公の姉、朴念仁の祀島くんなど、キャラクターの魅力にあふれた、リーダビリティーの高いミステリーです。それでありながら、ある種の喪失感を伴う物語でもあります。
- 作者: 津原泰水
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/06/21
- メディア: 文庫
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今作『ルピナス探偵団の憂愁』は、連作短編集ですが、最初に探偵団の一員である摩耶の25歳での死が描かれます。そして、作品を追うごとに時間がさかのぼっていき、最後のエピソードでは高校(ルピナス学園)の卒業式が描かれることになります。
摩耶を失うことの意味を、読者は、最後のエピソードで改めて知ることになり、その光が、それまでの物語に、深い意味をあたえることになります。
単純にミステリーとして読むと、犯人の動機と行動のバランスが取れていないという弱点もあるのですが、青春小説として、とても秀逸です。
最初のエピソードの段階で、主人公は小説家の見習い、主人公の親友は、その担当の駆け出しの編集者で、まだ一冊の本も出していません。そんな宙ぶらりんな状況を考えると、ぜひとも続編を書いていただきたいと思います。
- 作者: 津原泰水
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/12
- メディア: 単行本
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